派遣で働く/派遣の基礎知識

労働基準法:派遣社員の有給休暇の疑問(2ページ目)

「有給休暇にまつわる様々な疑問」をQ&A方式でご紹介させていただきます。有給休暇の詳細について確認してみましょう。

執筆者:加藤 由紀子

有給休暇取得のためには早めの準備を心がけ、できるだけ計画的に取得していきましょう。

有給休暇の申請時期について

Q:体調が悪くて、出勤日の当日の朝(始業開始時刻後)に派遣会社と派遣先に休みを頂く旨電話で連絡を入れました。ところが、休んだ日を派遣会社が有給休暇として処理してくれず、欠勤扱いになりました。違法ではないのでしょうか?


A:結論から申し上げますと、これは違法とはいえないのです。使用者は、有給休暇を労働者の指定する時季に与えなければならないのですが、それが事業の正常な運営の妨げになる場合は、時季変更権(前項で説明済)を行使することができます。しかし、有給休暇取得の申請が事前に行われなければ、使用者が時季変更権を行使するかどうかの判断、また、事後の申請であれば、時季変更権の行使もできなくなってしまいます。そういったことから有給休暇の申請は必ず事前に行う必要があります。

もちろん、体調不良などの場合は、やむをえない事情として有給休暇で処理してくれる会社もありますが、基本的に事後に申請された有給休暇を会社が認めなければならないという義務はないのです。具体的なルールについては就業規則等で確認してみましょう。


有給取得に日数制限?

Q:勤めている派遣会社では、有給休暇を取れるのは月3日までと言われました。本当に3日までしか取ることはできないのでしょうか?

A:有給休暇は労働者の指定する時季に継続または分割で与えなければいけない制度です。労働者の指定する時季ということになりますので、時季変更権を行使する理由に該当しない限り、日数に制限を設けることは法律の趣旨に反しています。

おそらく、これは派遣会社の都合上「できればそうしてください」というお願いではないでしょうか。派遣先に迷惑をかけることを心配する派遣会社の気持ちも理解できます。

ここで、問題となるのは、例えば、事前申請のルールに則り、有給休暇を取得する旨を連絡しているにも関わらず、4日目からの有給休暇分の賃金が支払われないという事があった場合です。そうなれば法律違反ですので、有給休暇の分の賃金を支払ってもらう必要があります。

確かに、法律では労働者の権利は保障されていますが、後々、トラブルになったり、気まずい思いをするのは避けたいことですよね。やはり、有給休暇取得のためには、仕事の段取りや申請など早めの準備を心がけ、できるだけ計画的に取得していきましょう。有給休暇付与の本来の目的は労働者の心身のリフレッシュです。

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