「ならば、会社で寄付金払っちゃおー!」
と、いう話になるかもしれませんが、ちょっと待って!税務上も寄付金と認められるには、いくつか気をつけないといけないポイントがあります。
今回は、会社が実際に寄付をする際の経理処理のポイントをご紹介します。
「税務上の寄付金」とは何かを確認する
「会計上」「税務上」と、勘定科目の意味や取扱いをそれぞれ覚えるのは大変なことです。ただ、これからはもっと「会計」「税務」の差は開いてくるのでは、といわれています。 今から一つずつ、覚えていくようにしましょう。 |
寄付をするに際して、まず「税務上の寄付金」とは何かを確認しておきましょう。
税務上、「寄付金」とは「金銭、物品その他経済的利益の贈与又は無償の供与」と定義付けられています。平たく言うと「金銭やモノ、サービスをタダで提供すること」となるでしょうか。
ここで言う「タダ」とは、「0円」という意味ではなく「見返りを期待しない」という意味です。
似たような支出でも「見返りを期待して」提供するものは「交際接待費」や「広告宣伝費」などの他の経費として取り扱われることとなります。
また、取引先に対する売掛金を、支払い能力があるのに免除してしまった場合などは「経済的利益の無償の供与」に該当しますから、税務上、免除した金額相当額を「貸倒損失」ではなく「寄付金」として取り扱わなければなりません。
寄付金の「経理方法」にも要注意!
会社が寄付をするかどうか考えるタイミングの一つとして挙げられるのが、「決算期末」。会社の経営成績が見えてきたところで、寄付を検討するというものです。そんな場合に特に注意して欲しいのが、寄付金の「経理処理」です。
寄付金は「実際に支払われたとき」に、税務上経費として認められることになっています。
つまり、決算日が過ぎた後で利益が大きいからといって、寄付金を未払い計上したとしても、それは税務上、未払計上した期の寄付金となるのではなく、実際に支払った期の寄付金とされます。
また、寄付金が多額ということで「手形払い」するケースもありますが、これも税務上は「手形を振り出した期」ではなく、「手形が決済された期」の寄付金とされますので、注意が必要です。
逆に、寄付金を支払っていれば、たとえ「仮払金」のように経費処理していなくても、税務上は「寄付金」として取り扱うことが出来ます。
他の経費は未払経理でも、通常は税務上も経費と認めてくれるのになぜ寄付金は駄目なのか。これは、別に国が意地悪しているからではなく、他のところに理由があるとわれています(詳細は、別の機会にご紹介します)。
「領収証」はマストアイテムです!
「領収証」というと「ただの紙切れ」と思うかもしれませんが、実は税額を左右する重要なアイテム。 そう考えると、「領収証」もお金同様に思えてきませんか? |
領収証には日付が記載されていますので、先ほど述べた「いつ寄付したのか」を証明するためにとても重要なものです。
また、税務上経費にするためには申告書に明細を記載するとともに、領収証を保管しておく必要があります。
税務署の調査が入った場合など、この領収証がないと、その寄付金は税務上経費と認めてもらえなくなってしまうのです!
特殊な寄付金(次回ご紹介します、「指定寄付金」や「特定公益増進法人に対する寄付金」など)は、さらに証明書などの保管も必要になってきます。
寄付をするとき、領収証をもらうのは何となく恥ずかしく面倒かもしれませんが、税務上とても重要なものですので、必ず領収証等を保管するようにしておいてくださいね。
【関連リンク】 『寄付金はなぜ税務上経費にならないの?』シリーズ
・「寄付金はなぜ税務上経費にならないの?(1)」
寄付金はなぜ税務上経費にならないのか、その理由をご紹介します。
・「寄付金はなぜ税務上経費にならないの?(3)」
支出した寄付金の分類や、限度額計算についてご紹介します。