「資格」のことは、とりあえず置いておいて!
「せっかく資格を取ったのに……」実務経験の無かった方は、資格取得の知識と実務で求められるものの違いに自信を無くすかもしれません。でも、これはみんな同じこと。一歩ずつ学んでいけば、それでよいことなのです。 |
私が色々な会社の経理の内情を見てきた中には、残念ながら新人経理の方々がうまく馴染めずに別の部署へ行ってしまったり、退職してしまったケースが存在します。もちろん、会社のほうに原因があったケースもありますが、その人本人に原因があったケースもかなりありました。
本人が原因で「経理の仕事」に上手く馴染めなかった理由には共通点があります。それは、その人が「経理の資格を持っていた」ということです。
簿記検定や、税理士試験、公認会計士試験等、会計には様々な資格があり、それなりの難易度があります。ある程度苦労しないと取得することが出来ない資格ですから、資格を取得するとそれに見合った「自信」や「プライド」が生まれてきます。
でも、経理ほど「実務」と「資格」の差がある仕事もありません。
通常ならば、取得した資格をそのまま実務でも発揮すればよいかもしれませんが、「経理」の場合、「資格を取得すること=実務」ではありません。
実務では試験問題に出てこないこと、たとえばファイリングや伝票を起票するまでの流れ、決算書の読み方など学ばねばならないことが色々あります。
税理士も試験合格してから一定の実務経験を積まないと、税理士を名乗って仕事をすることは許されていません。このことからも、経理の仕事の特徴を窺い知ることができるでしょう。
「私は資格を持っているから!」と自信満々で経理の仕事に臨んだものの、分からないことだらけ。でも、プライドが邪魔して人には聞けない。そして仕事を抱え込む。そして最後は……。
こんなケースが結構あるのです。
「私は資格を取るだけ頑張れたんだ!」という自信を持つはモチロン大切なこと。でも、経理の世界はいきなりベテランに勝とうと思ってもなかなかそうは行かない世界なのです。何年も同じことをやって経験を積み、その会社の内外に精通している人のほうがどうしても「一日の長」があります。
野球のように「ルーキーが大活躍」というのは、あまり無いケースなのです。
私も含めて、「経理の仕事」は一生勉強です。資格を過信せず「自分の知らないこと」は謙虚に吸収し、もしも、今までの勉強での知識で会社に貢献しそうなことがあれば提案をしていく、そのようなスタンスで臨めば、全く問題はありませんから、ご心配なく!
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