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「見えない在庫」に気をつけろ!(3ページ目)

「在庫」というと商品や製品、材料を連想するもの。ですから、小売店や製造業にしか関係ないと思われがちです。でも、実はサービス業などの業種にも「在庫」が存在する場合があるのです。

執筆者:森 康博

「仕掛品」の計上忘れはイタイ!

さて、では仕掛品を計上し忘れて決算を組んでしまった場合、どのようなことになるのでしょうか?

●当期と来期の決算数値がおかしくなる
「仕掛品」を計上しないで決算を組んでしまった場合、当期の決算では原価だけが計上されているので、一見、業績が悪く見えることになります。
また、来期の決算では売上だけが計上されることになりますので、一転して業績が変に良いように見えることになります。
なんともバランスの悪い、変な決算期が続いてしまうことになります。

●追加で税負担をする必要が出てくる
当期決算後に税務調査が入った場合、問題が出てくることになります。
当期の決算では、原価だけ先取りして利益を計算していますので、その分だけ不当に法人税の負担が軽くなってしまっているのです。
正しく(この支出を原価にしないで)法人税を計算しなおすと、追加の法人税負担が罰金とともに発生してくることになります。

「支出が先」で「請求が後」の仕事には注意を!

会社
この仕事の方法では、「仕掛品」の管理に手間がかかるうえに、出金が先行しますから資金繰りも悪くしてしまいます。
いきなりは無理でしょうが、少しずつ条件を交渉する必要があるかと思われます。
『とりあえずこちらで費用を出しておいて、仕事が終わってから請求をする』、といった形態の仕事方法は結構あるかと思います。
この仕事の方法をしている場合には、「仕掛品はないか」を考えつつ決算を組まないと、誤った決算を組んでしまうことになりますので、くれぐれも注意が必要です。

「在庫は小売・製造業のもの」という固定観念は禁物です!
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