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決算を楽に終わらせる3-月次決算-(2ページ目)

「決算を楽に終わらせる」第3弾。今回は月次決算にチャレンジです。決算で大慌てしてしまうのは普段から決算に備えていないから。月次決算をして決算に備えつつ経理をより会社の経営に活用できるようにしましょう!

執筆者:森 康博

「月次決算」の進め方


さあ、それでは月次決算にチャレンジしていきましょう!

■ 「月次決算」いつまでに仕上げる?
スピード
月次決算に求められる「スピード」
会社は生き物ですから、常にその状態も変わっていきます。月次決算をやるのならば、なるべく早く数字を出すのが重要です。


「月次決算」は、どのくらいの期間で終えれば良いでしょうか?
前のページで「月次決算のメリット」を掲げましたが、これらのメリットを最大限に活かすには何より「スピード」が重要です。5月の数値が10月に出てきたのでは、対策を打とうにも手遅れとなってしまいます。
理想を言えば「その月の月末の翌日から5日以内」、遅くとも「その月の月末の翌日から半月以内」には月次決算の数字を出せるように出来るよう、目標を掲げていきましょう。

■ 「月次決算」では具体的に何をすればよいのか?

「月次決算はスピードが命」となると、毎月「本決算」と同じ作業をしていくのは困難を極めることでしょう。もちろん、そうできる余裕があるのでしたらやっても構いませんが、多くの会社は実際無理なはず。そうすると「ある程度簡略化した決算をする」ということになります。

現金取引や預金取引は通常通り処理し、売掛金や買掛金、その他経費は発生主義で計上していくようにしましょう。支払いベースで計上していくと、毎月の決算数値を正常に掴むことが出来ません。

また、通常は本決算で計上するような決算整理事項、たとえば「減価償却費」などは、あらかじめ「年税額」を計算しておき、毎月1/12ずつ計上していくようにします。賞与等も年間支払予定額を同様に1/12ずつ計上すればよいでしょう。もし、数字を見積もるのが困難であるのならば、その科目の前年の決算数値を基にして見積もり計上していくのもアリです。
中でも悩むのが「棚卸資産の計上」ですが、これは毎月の「実地棚卸」が無理であれば「帳簿棚卸」の数値や、前期の「粗利益率」を基に仮計算するようにしていけばよいでしょう。
その他、前期の決算を参考に「毎月計上したほうが良い」と思われる決算整理事項はなるべく反映させていくようにします。

■ 「月次決算の報告」にも気をつけて!

せっかく苦労して月次決算の処理を終えたとしても、それで仕事は終わりではありません。
会計ソフトから出てきた試算表を印刷してそのまま社内に報告しても、なかなか活用してもらうことは出来ないでしょう。なぜなら、決算書の内容を読みこなし、理解することはなかなか難しいからです。
試算表の内容をある程度簡略化し、Excel等の表計算ソフトで作成した表などで報告するようにすれば、社内の人々にも分かってもらいやすく、より経営の為に何をすれば良いかを読み取ってもらうことが出来るでしょう。
「自分の会社はどのような特性があって、どの数値に気をつけないといけないのか」このあたりをリサーチして、経理の上司や顧問税理士等と報告フォームを考えてみても良いかもしれませんね。

「月次決算」から「経理の改善点」を見出す

レベルアップ
「月次決算」は導入当初が一番大変ですが、一度軌道に乗ればこれほど助かる仕組みはありません。決算が楽になるうえ「経理のレベル」がもうワンランクレベルアップします!

今回は「月次決算のやり方」をご紹介してきました。文章で見るとサラリとしており簡単そうですが、実際に月次決算を導入しようとすると、色々な困難が立ちはだかるかと思います。
社内から請求書が上がってくるのが遅かったりとか、経費精算が遅い人がいるとか、会社によって様々でしょう。

「月次決算に取り組む」ということは、これらの問題を同時に解決していくということ。ちょっとした工夫や社内の協力が必要となるかと思いますが、ご心配なく。
今後も記事でフォローしていきますし、何より、多くの会社が普通に月次決算をこなしています。
あまり「難しいこと」と肩肘張らず、まずはチャレンジしていきましょう!




【関連リンク】 『決算を楽に終わらせる』シリーズ(All About「経理の仕事」)

「決算を楽に終わらせる1-原因究明編-」
「決算で何故いつも苦労するのか?」その原因と対処法をご紹介します。

「決算を楽に終わらせる2-リストを作る-」
「決算チェックリストの作りかた」を解説しています。
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