コラム『ハケンの品格』連載中!
第8話
「ハケン弁当」は500円でいいのか?
7話からひっぱってる「ハケン弁当」が、8話でかたちになりました。大前さん手作りの試作品は、 絶対外せないという鯖の味噌煮をメインに、アンケート結果で人気のあったおかず10品が入った豪華なもの。
里中主任のデスクには、この試作品と、大前さんからの手紙が。
「一個あたり1,000円です。
これを500円にするのがあなたの仕事です」
これを聞いた時、平井は驚きました。
「500円でいいのか!?」
…いいワケありません。
「ハケン弁当」は、派遣社員1000人のアンケート結果により、販売価格は500円と決まっています。
500円のお弁当を作るのに、500円も材料費を使っては、利益が出ません。
大前さんも、食品会社に8年勤めている里中主任も、これがわからないワケはないので、この手紙は、
「一個あたり(原価)1,000円です。
これを(売価)500円にするのがあなたの仕事です」
という意味だと考えます。
では、里中主任は、1000円かかった原価をいくらまで下げればいいのでしょう。
とあるお弁当会社の宣伝文句に、「価格の半分まで原価をかけた」というのがありました。
ここで言うところの「原価」とは、材料費のことをさしていると考えられますが、美味しいお弁当を作るために、「50%も原価使っている!」というのがウリになるくらいですから、一般的にはもっと低い。
創立80周年記念として、高い原価率を許すにしても、50%が上限と考えれば、500円で販売するために、かけられる原価は250円。
豪華な内容からして「そりゃムリだ」と、その後の展開を期待?していましたが、9話で、品数を少なくすることが決まり、少し現実的に。
試食販売では、「サバの味噌煮」、「豆腐ハンバーグ」、「えびとブロッコリーの炒め物」をメインに、サラダなどの副菜から2品、玄米か白米のごはんを付けて500円で販売していました。
それでも、9話での里中主任と桐島部長の会話では、「単価の650円をどうやって500円に近づけるか」というセリフが。
桐島部長が、「あんまり理想を追わないように、現実的な折り合いをつけろよ」と答えていることからして、ここでの「単価」は、「売価」のことと考えられます。
この650円は、今回かかった原価を、「S&F」の標準原価率から逆算して、本来折り合う売価を算出したものなのでしょう。
…なんだか、セリフの矛盾をフォローしている気分(笑)。
今回のおはなしを観て、セリフに矛盾を感じた方は、唐突ですが、日商簿記2級にチャレンジしてみるといいと思います。
2級からは、3級にはなかった、「工業簿記」というものが出てきますが、原価の計上方法や売価について学習できます。
「工業」というと敷居が高く思えますが、今回のお弁当など、身近なものに置き換えれば、案外とっつきやすい。平井は工業簿記の学習が楽しくて、夢中になったものです(笑)。
ところで、これまで「原価」としてきたものは、野菜や米など、材料費をさしていましたが、お弁当にかかる「原価」はこれだけではありません。
「原価」は、
「材料費」
「労務費」
「経費」
の3つに分けて計算します。
「材料費」は、お弁当に使われる食材のように、製品を作るために直接必要なものをいいます。
肉や野菜、米だけでなく、使い捨てなら、容器やお箸のコストも考えなければいけません。
「労務費」は、その製品を作るために必要な人件費です。
調理するために人を雇うなら、給与や社会保険料がかかります。派遣社員を雇えば、派遣会社に支払う額が原価となります。仮に大前さんと森さんが作ったとすれば、時給3000円と1200円×時間…高くついてますね(笑)。
「経費」は、上記2つ以外に、その製品を作るためにかかった額。
いろいろ考えられますが、代表的なのは水道光熱費。調理するためには、ガスや電気代が当然かかりますよね。
ラップやキッチンペーパーなど、調理の過程で消費される消耗品も馬鹿になりません。
「食べた人が幸せになる食品をつくりたい」という里中主任の願いも、これらをクリアし利益を出してこそかなうもの。
最終回で、原価をどこまで下げることが出来たのか…楽しみにしています。
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