電話を取る時、ついつい慌ててしまう。お客様とのやりとりに自信がない…悩んでいらっしゃる方も多いと思います。
今回は、大手航空会社で11年間、予約業務や、クレーム対応を担当していらっしった小川奈津子様に、感じの良い電話応対をするための心構えとコツについて寄稿いただきましたので、ご紹介しますね。
≪小川奈津子≫ 大学を卒業後、大手航空会社に11年勤務。国内線、国際線で予約業務を経験後、クレーム対応、顧客満足プロジェクト等を担当。 日々の業務と平行して、自分の経験談をもとに新入社員、中堅社員の顧客対応、カスタマーサービスなどの研修を行っていた。 夫の転勤に伴い退職。その後も、いくつかの会社で電話応対や接客などの研修を担当している。 |
最初の一言は聞こえない
電話は昔に比べるととても発達して、マイクの感度も相当よくなっているので、かなり小さな音まで拾ってくれます。
「電話の後ろでさわいじゃダメ、大声で笑っちゃダメ」「電話の後ろでお客さんの悪口なんか言っちゃダメよ!」なんて、よく先輩が言っていたものです。
笑い声や悪口でなくても、受話器やマイクの位置によっては、「鼻息」が入ってしまってしまうこともあります。
どんなに気取って素敵な応対をしていても、「んふー、んふー」なんて音が入ると、こりゃ笑ってしまうというか、悲惨としかいいようがない状態なので、気をつけてくださいね。
と、マイクの感度がよくなったといいながら、「はじめの一言がきこえない?」とは矛盾しているように感じるかもしれませんが、これは本当なんです。
「聞こえない」というのは、本当に音声が伝わっていないということと、そして、相手の脳…ていうか、心に伝わらないという二つの状態が発生しているのです。
最近、電話をかけると、
「ありがとうございます。山川商事、新宿支店、お客様担当の木村でございます」
「お電話ありがとうございます。国際ホテル、フロントの田中が承ります」
という感じで出てくるところって多くなったと思いませんか?
"なーに、きどってんだよ"と思われる方もいるかもしれませんが、実はとても意味のあることなんです。
はじめの「ありがとうございます」や「お電話ありがとうございます」だけを聞いて、「すばらしいー」と心を打たれる人なんてあまりいないと思いますが、この言葉が、とっても大事な役割を果たしているのです。
もし、この言葉抜きで電話と取るとすると、
「山川商事でございます」
「国際ホテルでございます」
となると思うのですが、相手側に伝わるのは、音楽で表現すると"クレッシェンド"という感じでしょうか。
文字で表現するのは難しいのですが、無理に書くとすれば
「~ぁかわ商事でございます」とか「~すぁいホテルでございます」なんて感じでしょうかね。
この文章の中で、一番伝えたいことといえば、「ここは山川商事ですよ」「ここは国際ホテルですよ」ということなのに、その一番大事な部分がぼわぁ~という曖昧な音声になるばかりではなく、相手の脳が準備できていないところに、いきなり音声がぼわぁ~と入ってきますので、ちゃんと聞いてもらえていないことが多いのです。
「忙しそうな会社」「雑な応対」という印象を与えることも。
この"伝えたいこと"の前にちょっと入れる言葉を、クッション言葉と言います。
電話をかけてまず、はじめに飛び込んでくる言葉は、さわやかなほうが良いに決まっています。顔が見えない分、余計に声が与える印象の効果は大きいものです。
このクッション言葉をうまく使うことによって、まず良い印象の電話のスタートを演出する効果が期待できます。
さらに、電話が不慣れな人、苦手な人のスキルのなさをカバーしてくれる効果があるのです。
クッション言葉はいわば、「3、2、1、キュー!!」とでもいうのでしょうか。
これから始まるよ!スタート!!という合図みたいなものです。つまり、音声的に良い効果が期待できるだけでなく、聞き手の脳に「パーン」とキューを出す効果が望めるということなんです。
「ありがとうございます」や「お電話ありがとうございます」がちょっと言いにくいと思ったら、「はい」でもかまいません。まずはクッション言葉を最初に入れてみるというのを試してみて下さいね。