記事「国保と任意継続…どっちがお得?」では、任意継続と国民健康保険の保険料について説明いたしましたが、政府管掌健康保険を任意継続する時、もう少し気をつけておきたいことがあります。
任意継続の手続きをするには
健康保険を任意継続するために、退職する会社から貰わなければいけない書類はありません。
手続きには、退職前の健康保険の記号番号が必要なので、保険証を返却する前に、控えておきましょう。
事務担当者も、退職する方に、任意継続のために発行する書類はありませんが、『被保険者資格喪失確認通知書』のコピー(任意継続するために必要な事項が全て記載されているため)を退職する方に渡せば、手続きがスムーズかもしれません。希望があれば渡してあげましょう。
納付日を忘れるべからず
任意継続中は、金融機関を通じて、毎月期限内に保険料を支払います。
もしも、期限内に支払いしなければ、翌日には資格を失ってしまいます。
正当な理由があったと認められない限り、これはどうしようもありません。
「うっかりしてた」じゃダメです。こうなると、国民健康保険に入るしかありません。
再就職以外では、前納した保険料が戻らない!
それならまとめて払いたい!と思う方もいらっしゃるでしょう。
退職後、いつ次の会社に就職するかわからなくても、国民年金なら前納すれば割引もあるし、就職したり、扶養家族になった時点でそれ以後の分は返金されます。
任意継続保険料の前納制度も、タイミングによってはあるのですが、前納した保険料が返ってこない場合があるのです。
再就職、死亡以外の理由以外の理由では、保険料は戻ってきません。
正確には、これ以外の理由…例えば、結婚して扶養家族になるとか、国民健康保険に切り替えるなどで、任意継続をやめることはできないのです。
少しでもこれらの予定がある方は、前納する前によく考えた方がいいでしょう。
…なんだか納得できない気もしますが、それは、任意継続という保険の性質を考えるとよくわかります。
『健康保険任意継続被保険者のしおり』には、任意継続とは、
あなたが事業所を退職された後、ふたたび就職して健康保険の被保険者となるまでの一定期間、引き続き個人で健康保険制度に加入するものです。
とあります。
また、資格喪失の理由として
(1)加入して2年を経過したとき。
(2)被保険者が死亡したとき。
(3)保険料を納付期日までに納付しなかったとき。
(4)就職して健康保険や共済組合などの被保険者となったとき。
となっています。
前納の有無にかかわらず、扶養家族になるとか、国民健康保険に切り替えるなどの理由では、任意継続の資格は喪失できないのです。
とはいえ、(3)にあるように、期日までに支払わなければ、理由はどうあれ資格を失ってしまうので、就職以外で他の健康保険制度に変更したい方は、「払わない」という選択肢で資格を喪失することが可能。でも、前納した期間ははこれができないため喪失できない、ということです。
…ちょっとまわりくどいですが、任意継続という制度が、再就職を前提としたものであることがよくわかりますね。
どんなに高給でも28万円
これは、関係する方は少ないと思いますが、参考までに。
任意継続の保険料は、政府管掌健康保険なら、給与から控除されてる「健康保険料」の2倍です。40才以上で介護保険料が控除されている方は、こちらも2倍になります。
任意継続は全額自己負担。在籍中は、控除額と同額を会社が経費として支払っているため、退職後は2倍となりますが、上限があります。
平成17年度は、22,960円、介護保険料を支払う必要のある方は、26,460円です。
これは、正確には、保険料の上限が決められているのではなく、標準報酬月額の上限が28万と決められてるためです。
標準報酬月額が関係してくるのは「傷病手当金」や「出産手当金」です。
国民健康保険にはこの制度はありませんので、該当する方は、退職後、すぐに任意継続の手続きをした方が良いと思いますが、在職中、標準報酬月額28万より高い給与を貰っていた方も、任意継続中は、28万をペースに計算されます。
※この記事は平成17年8月現在の内容を元にしています。制度変更、計算方法の変更があれば、数値が違ってきます。あらかじめご了承下さい。
※任意継続は、政府管掌健康保険について記載しています。健保組合等、その他の制度ではこの限りではありません。
特に健保組合には、負担額以外に独自のメリットがあることも多いです。詳しくは加入している健保組合の事務局に問い合わせて下さいね。
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