【理想は介護と医療、看護の連携】
つまり、利用者が、医療関係者が求めているからと言って、医師や看護師が行うべき医療行為すべてを、介護職が肩代わりすることはできないし、する必要もない。先にも述べた通り、ズルズル職域を拡大していくのも決していいことではないでしょう。
本の中で現場のヘルパーの方が言った通り、本来、ケアの専門家であるヘルパーがはたすべき役割とはなんなのか、という新しい問題が起きてくる可能性があるからです。しかし、だからといってまったくしない、というのも、訪問看護の介護報酬が訪問介護(身体介護)の2倍である現状では現実的ではないと思います。
個別のケースについては、理想を言えば、医師、看護師、介護職が、それぞれの専門性に敬意を表しながら、一人の利用者の介護を、どう分担し、カバーしあえばいいかという話し合いをすることで、解決していくこと。
この本の中では、医師を中心に介護と医療、看護が有機的に連携している「尾道方式」についての紹介がありました。尾道では、医療行為が必要なケースについてはほぼ100%、医師のもとでケアカンファレンスが開かれています。その利用者の居宅サービスに関わるすべての専門職が一堂に会して、それぞれの立場から介護にどう関わり、何に注意すべきかという課題の分析、介護上の共通の目的を確認しているそうです。
このことにより、日常の介護での連携がスムーズになり、役割分担も機能的に行えているとのこと。たんの吸引なども、状況に応じて介護職に研修を行い、分担してもらうこともあると紹介されていました。
ケアカンファレンスがほぼ100%行われているというのは驚きですが、じつに理想的なやり方だと思いました。地域特性もあり、どこでもできることではないのかもしれませんが、医療面では最も高度な知識と技術を持つ医師が先頭に立って動いてくれることで、連携しやすくなるのかもしれません。
みなさんは、どう思いますか?
この問題、どうすればいちばんいい方向に進んでいくでしょうか?
難しい問題で、まだまだ私も考えがまとまりませんが、みなさんのご意見もぜひお聞きしてみたいです。
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