教育や環境、国際協力や社会的弱者支援などの分野で「自分の想いをカタチに」する社会起業家と呼ばれるひとたちがいる。「世界にはこんな人たちがいるんだ!」と目からウロコ。


≪前編≫
社会起業家とは?
事例紹介:経済的な繋がりが紛争を解決する
米国でのトレンド
≪中編≫
社会起業家5つのキーワード
事例紹介:「非営利の」医療器具メーカー
≪後編≫
事例紹介:低所得者向け太陽発電システム
事例紹介:「儲かる」環境保護戦略
海外で社会起業家を目指す


社会起業家とは?

世界にはさまざまな仕事をするひとたちがいるけれど、「社会をよりよくするために」自分の力で人を巻き込みながら活躍している「社会起業家」と呼ばれるひとたちがいる。

「社会起業家」という言葉を正確に定義することは難しいが、国際的に活動する社会起業家の支援NPOである、Ashoka の定義によれば以下のようになる。

|「社会起業家の仕事は、社会の中の課題を見つけ、
|新しい手法でその課題を解決することである。
|その過程で、とりまくシステム自体を変え、
|解決策を世に広め、新しいステージへの飛躍を
|社会全体に対して説くことをいとわない。
|社会起業家とは、魚を与える人ではなく、
|魚の取り方を教える人でもなく、魚業界全体に
|革命を起こすまで働く人である。


もう少し噛み砕いて説明するとしたら、「社会の課題を事業的な手法で解決するために、革新的な方法で情熱的にそして戦略的に取り組んでいるひと」ということかもしれません。

より具体的には、彼らは環境、福祉、国際協力、人権、教育、地域づくり、中小企業支援など幅広い社会的ミッションを掲げて活動しています。



事例紹介:経済的な繋がりが紛争を解決する

Peaceworks
定義だけお伝えしてもなかなかどういうものかをイメージすることは難しいと思いますので、まずはひとつだけ事例をご紹介いたします。

【Peaceworks】
「経済的な繋がりが紛争を解決する」というコンセプトで、紛争地域の対立グループが互いに利益を与え合える仕組みを構築したのがPeaceworksだ。

具体的には、各種食用ペーストの原材料をパレスチナから仕入れ、イスラエルで加工することで、両地域を経済的に結びつけ、相互理解を促進する。そして、その製品をアメリカなど先進国で販売し、収益をあげるという流れである。

また、事業のパートナーである現地の企業には、資金的、技術的な支援を行なっている。さらに収益金の一部は、Peaceworks Foundationを通して紛争地域で住民の対立感情を緩和するために活動する団体への寄付としている。

Peaceworksが生まれたきっかけは、創立者であるDaniel Lubetzky氏がイスラエルで好物だったパレスチナ産原料使用のトマトペーストが紛争のために生産中止になったことにショックを受けたことである。氏は諦めなかった。なんと生産者をつきとめ、説得し、トマトペースト事業を再建してしまったのである。

彼がリサーチのためにイスラエルを訪れたのが1993年。当時法学部で学位をとった直後の25歳である。米国市場を開拓できると力説する彼だったが、最初はアメリカ人の小僧が何を言い出すのかとあしらわれたそうである。その後自己資金で商品を買い付け、会社を設立、1996年の記事ではすでに45の卸先から2,600もの小売店に商品を置くようになるまで成長しているのだから脅威のスピードだ。

また、Peaceworksは単に商品の販路を見つけただけではない。イスラエルやパレスチナの対立する組織に属する人たちを経済活動を通して結びつけたのだ。「お互いを理解するためにワークショップを開きましょう!」ではなく、「一緒にお金を稼ぎましょう!」というなんとも素敵なアプローチではないか。

さらに、911以降においてはパレスチナ-イスラエル間のみではなく、イスラム圏と西洋社会をつなぎ、理解を深めるための役割も担っていることは明白だ。

そんなPeaceworksは自らを「not-ONLY-for-profit company」と呼ぶ。利益のために、そして利益以外の社会的な価値のために存在する企業であることが彼らの誇りなのだ。

(事例は、「世界の社会起業家紹介メールマガジン」より)

こんな風に、今までのビジネスとは異なる視点でのアプローチ、まだまだ世界にはたくさんあるのです。次の事例は中編・後編に譲るとして、次のページでは、社会起業家に関する米国でのトレンドをおさえておきたいと思います!