企業が本当に期待しているのは異文化理解力と自立精神。 |
それも、かつてのように語学力に期待するというより、異文化に接し未知の世界に挑戦するベンチャー精神にかける企業が多い。求める資質は、異文化を理解し国際社会で共存できる能力とバイタリティー、そしてあふれるような自立精神です。
国際感覚を身につけた人材や世界的に通用する技術力をもった人材の採用に積極的なあるメーカーの人事担当者は、「異文化に接し、行動力を身につけた留学経験者は魅力的」と言います。
留学生採用に熱心な企業が共通して言うのは、「同じ留学生でも、国内の大学や就職を嫌って海外の大学に行った(逃避した)人ではなく、自分のきちんとした意思と目的をもって留学した人を選ぶ。 語学力や海外経験があるからだけでは採用しない」。 確固たる自分の意思で留学した人はネイティブとやりあう力も違う。語学力は勉強すれば点数を上げられますが、国際感覚はそうはいかない。 チャレンジした人にはそれなりに磨きがかかり、実社会に出ても通用する実力がついてくるものです。
グローバルなネットワークと行動力、創造性に期待
一昔前であれば、自らに企画提案力や交渉力、意思決定力をもたなくても、流暢な語学力を駆使して海外との橋渡し役を演じる、そんな人材が数多く活躍していました。 しかしビジネスのグローバル化が進展し、そこにスピードや創造性が求められるようになった今、自らがアイデアを出し、想像力、企画力、行動力、調整力を駆使しながら交渉の舞台に立ち、それを形にしていくことのできる人材でなくては通用しなくなってきています。
留学経験者への評価も「英語が話せる人材であって、大学を出ている」から「日本国内の優秀な学生と同等以上の資質を持ち、さらに英語が話せる」へと変化してきています。
つまり日本国内の採用基準と同様の人物評価のうえで、さらに英語力という武器をもっているという期待です。
もうひとつ付け加えるとすれば、「大学時代に築いたネットワーク」、それもグローバルなネットワークという武器です。日本国内の大学でもゼミやサークルなどで多くの友人、先輩、後輩と出会います。 そうしたネットワークは直接ビジネスに結びつかなくても、情報収集や自己啓発の励みなど様々な形で影響しあう。 優秀といわれる大学になればなるほど、ビジネス社会で活躍している人は多いため、そのネットワークが活躍できる場面は多くなるでしょう。
学歴偏重の人物評価や学閥などが過去のものとなった今、こうした大学時代のネットワークを語るのは適切ではないかもしれません。しかし、実際社会に出てみると、貴重なものであることに変わりはない。 海外の大学で学んだ留学生にとって、そうしたネットワークをグローバルにもっているということは大きな武器であるといえるでしょう。