世間の価値観に左右されない
―(ガイド)妊娠中は、口にするものにとても気を遣う時期。野中さんはどのようなことに配慮されましたか?「食べ物も胎教も、命づくりにマニュアルなんてない。ナチュラルが一番!」 |
体の中で命を育てている間に、母親のとるべき栄養や妊娠中のベストな過ごし方を調べたり、あるいはちょうど「胎教」という言葉が使われ始めた頃で、音楽、絵本、水泳、バレエが「胎教」に良いと言われていましたから、それについてもあれこれ調べてみようと思ったり。育児書は、海外から取寄せたものも含めて 34冊も読み比べました。
すると、ある本には、「たまごは絶対に食べなさい」「牛乳は、1日2本は飲みなさい」「豚肉、鶏肉、牛肉をバランスよく食べなさい」「フルーツはたくさん食べなさい」と書いてある、でもある本には、「たまごは一切とるな」から始まって全く180度違うことが書いてある。そこで気付くわけです。「なんだ、マニュアルに左右されることはないんだ」と。しっかり命の声を聴いて、自分が心地よいと思うものを「おいしくいただく」「にこやかに買う」「食べ物に感謝する」ということがどんな胎教よりも大事なんだと。
太っちゃいけないって食事のカロリー計算して、「もっと食べたいのに!」って、ママがイライラしてるほうがよっぽど胎教に悪い。おせんべいの2枚や3枚食べたところで、動けばいいのよ。ましてモーツァルトを聴かないと音痴になるなんてそんなことアリマセン(笑)。
富良野で体験した究極の胎教
妊娠7ヶ月の頃、お腹が大きいからこそ意味があるかもと思って、司会をお受けした仕事がありました。「未来について語ろう」という趣旨で、倉本聡さんの富良野塾から中継する番組です。夜の中継で、アイヌのかがり火を焚いて、和太鼓の林英哲さんが演奏したとき、おなかの子どもが和太鼓のリズムに本当に喜んでいるのがわかった。同じ聴くのでもアイポッドじゃなくて、富良野の森の中でしょう。ふくろうが鳴いてて、和太鼓、かがり火・・・・・・。まさに地球の胎内にいるって感じ。和太鼓のリズムを感じながら、「あー生きてるんじゃないよねー。生かされてるんだよねー」ってみんなで言ってね。そういうのが胎教であって、マニュアルが胎教ではないとあらためて感じました。
34冊も読破されたなんて、さすがですね。次に出産後の「子育て」についてお話しいただいています。 >次ページへ