「世界価値観調査」は、世界74カ国の研究期間が同じ調査票を使って行われるもので、各国とも18歳以上の男女1000人を対象にした大がかりな調査です。
この調査によると、夫婦共働きに賛同する比率は、日本では男性38.5%、女性38.9%。私自身はこの数字を見て、「ずいぶん低いなあ」と感じました。
家庭のあり方、女性の社会進出に対する考え方は国によってずいぶん違うものですが、儒教文化圏と言われる日本、中国、韓国は、欧米などと比べてベースの部分で似た感覚があると考えられます。
ところが、夫婦共働きに賛同する比率は、中国は男女とも96.1%、韓国は男性70.1%、女性74.3%。いずれも日本を大きく上回っており、日本の保守的な姿勢がこれだけ際だつ結果になったのはちょっと驚きです。
たしかに、今の日本で共働きを実践するのは大変なこと。ほとんどのケースで男性より女性に負担がかかっているという現実もあります。こうした現実が共働きを敬遠する動きになっているのでしょうか。
でも、もしそうだとしたら、ちょっと残念な気がします。
なぜなら、働くということは、自分が社会に貢献し、役立つことの証だからです。そして、そこでは充実感が得られます。共働きに賛同しないということは、その充実感を得るチャンスを自ら放棄したり、配偶者のそのチャンスを取り上げているとも言えるのではないでしょうか。
もちろん、共働きをせず、家庭のために使う時間を多くとることで生まれてくる充実感もあります。長い人生の中では、家庭生活にウエイトを置く必要がある時期もあるでしょう。
だから、フルタイムで働き続けることにこだわる必要はないと思います。でも、どこかで社会とつながって、社会に貢献する自分を持ち続けたい。そんな風に考えて共働きに賛同する人が増えていったらいいなと思うと同時に、そのためにも、今よりももっともっと柔軟な働き方ができる社会になっていってほしいと思います。
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