なお、【雇い入れ時の】とあるように、この健康診断は、労働者を雇入れた際における適性配置、入職後の健康管理に役立てるために実施するものであって、応募者の採否を決定するために実施するものではありません。その点からいえば、応募の段階で健康診断書の提出を求めるのは認められないことになりますが、現実には、とくに新卒者の募集などにおいては、履歴書などとともに健康診断書の提出を求めるケースが多くなっています。診断結果次第では、希望の業務からはずされ、別の職場に配置されることもあります。
年1回の定期的な健康診断
会社は、常時雇用する労働者健康を維持するために、毎年1回、定期的に健康診断を実施しなければなりません。その検査項目は、雇い入れ時の健康診断とほぼ同じです。
この健康診断は、労働者の側にも受診する義務があります。ただし、会社が指定した医師を信用できないなどの理由で忌避したければ、自分の希望する医師の診断を受けて、その証明書を会社に提出することで受診義務に代えることができます。
また、実施が義務づけられている検査項目とは別に、会社が追加受診を求める検査項目については、受診を拒否することができます。
特定業務従事者の健康診断
高温、低温、土石粉末などが著しく飛散する場所、水銀、フッ化水素、ベンゼン、硫酸その他の有害物のガス、蒸気、粉じんを発散する場所など、法令で定める特定の業務に従事する人については、年に2回(検査項目によっては年に1回)の健康診断が義務づけられています。24時間営業の飲食店、物販店などで午後10時から翌日午前5時までの深夜労働を含む業務に従事している人もその対象です。
検査項目は、雇い入れ時の健康診断に準じます。