転職するとき、退職金の額や雇用保険からの支給額など、入ってくるお金については予測しても、出費に関しては考えが回らない人が少なくありません。また、往々にして、もらえる分については多く見積もりがちで、フタを開けてみると予想していた額よりもずっと少なくて、転職計画に狂いが生じたというケースもあります。じっくり腰を据えて、よりよい転職先探しをするためにも、綿密な資金計画を立てることが肝心です。まずは、入ってくるお金について考えてみましょう。
(参考記事:<出て行くお金編>)
退職金----自己都合退職では大幅に減額
転職で、まとまったお金として期待できるのが退職金(退職一時金)です。もっとも、退職金を支給するかしないかは会社の自由裁量ですから、もとから退職金支給に関する規定がなければ、慣例として支給されている事実がない限り、退職金はないものと考えなければなりません。
さらに、退職金規定がある会社や慣例でほとんどの人に支給されている会社であっても、勤続年数によっては対象外となったり、会社都合による退職か自己都合退職かによって支給率は大きく変わってきます。中央労働委員会が大手企業を対象に調査したデータから作成している「モデル退職金」では、勤続3年で自己都合退職する場合は、会社都合の退職の場合に支給される額の約半分、勤続5年で6割といったところです。
退職金規定には支給対象者の条件や退職金額の計算方法、支給率がしっかりと記載されているはずですから、自己都合で退職する場合にはいくらになるのかを前もって計算しておきましょう。
(参考記事:今辞めたらいくらもらえる?)
ボーナス----支給日が延期されることもある
転職活動の軍資金として、ボーナスをアテにしている人もいるかと思います。しかし、この場合は、いつ退職の意思表示をするかによって支給額が変わることもある点に注意しなければなりません。また、ボーナスは、支払い日が決まっている給料と違って、支給時期、支給額など不確定要素が多くあります。
たとえば、例年、6月下旬に支給されているからといって、6月末に退職する予定を組んでも、会社の業績その他の事情で、支給日が延期されることもあったりします。ほとんどの会社では、ボーナス算定期間中ずっと在籍していたとしても、支給日に在籍していない人には原則支給しないという規定を設けていますから、支給日が1日、2日遅れたために、もらい損ねるといったことになりかねません。
また、ボーナスには、これまでの勤務状況や成績による査定に加えて、「今後も頑張ってくれよ」という期待料も含まれていることもありますから、このような会社では、査定が低くなり、結果的に支給額も減額されることもあります。
したがって、ボーナス時期に転職活動を進める場合には、ボーナス支給予定日からさらに1カ月ほど先に退職日を設定して、支給日の延期や評価の低下に備える必要があるといえるでしょう。
(参考記事:ボーナスもらって退職したい!)