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アウトソーシング市場の現状と会社選びの留意点 転職先としてのアウトソーサ(3ページ目)

アウトソーシングの市場規模は2010年には33兆円と予測されています。この市場を狙って、新規に参入する企業も増えているようです。転職先としてこれらの会社を見た場合はどうなのでしょうか。

執筆者:西村 吉郎

こうした戦略的アウトソーシングに対応するためには、アウトソーサにも豊富な実績とノウハウがあって、業務を遂行するための優秀な人材が揃っていることが必要になります。そこで、大手企業の中からもアウトソーシング事業部を設立するなどして、このニーズに応えようとするケースがちらほらとですが出てきました。人材派遣会社の一部にも、アウトソーシング部門に力を入れる動きが出始めています。派遣スタッフとは別に契約社員などとして直接雇用し、必要な教育訓練も行うとしていますので、近い将来、派遣を敬遠している人も、派遣会社を転職先としてみることができるようになるのではないでしょうか。


将来性のあるアウトソーサを
選択するポイント

以上、アウトソーシングの市場の変化を見てきましたが、市場の拡大につれて新規参入も増えていますので、今後、アウトソーサ同士の競合も激しくなっていくことが考えられます。となると、転職先としてアウトソーサを選択する際には、将来にわたって生き残れる会社かどうかを判断することが大事になります。

その判断のいちばんのポイントは、戦略的アウトソーシングに対応できるだけのノウハウや実績を持っているかどうかです。旧通産省のデータにもあるように、98年の時点で92万人がアウトソーシングに関連した企業で働いているということですから、企業数でいっても相当数にのぼるでしょうが、アウトソーサとしての経歴は長くても、企業と対等に渡り合えるだけの専門性を持った企業がどれだけあるかは疑問です。多くは、発注者側のコントロールのもと、唯々諾々と請負仕事をこなしているというところではないでしょうか。

取引先が固定していて、しかも関係が長期化している会社もできれば敬遠したいところです。よほどのことがない限り関係がとぎれることはないとは思いますが、限られた取引先相手に培われたノウハウでは、他の企業には通用しない場合があるからです。アウトソーサは、経営の安定のためにできるだけ長期の関係を求める傾向はありますが、 関係が恒常化すると緊張感がなくなって、お互いを高め合うことが少なくなることが考えられます。取引先の衰退に伴って共倒れするということもあり得ます。

その点では、固定的な得意先を抱えるアウトソーサよりもむしろ、短期的な業務を数多くこなしているアウトソーサの方がノウハウの蓄積は大きく、時代の変化やニーズの多様化にも対応できる企業であるといえます。しかし、受注業務が短期的であればあるほど、その都度の業務内容も変わります。そこで、そのときどきの受注内容に即して、スタッフの教育訓練やモチベーションに関するマネジメントが欠かせない要素となります。当のアウトソーサがスタッフのスキルアップのためにどのような教育訓練制度を持っていて、成果に応じた評価システムがどうなっているのかなどをしっかり確認することが必要です。
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