企業経営に関するキーワードとして、「アウトソーシング」ということばが多用されるようになってきました。アウトソーシング・サービスを行うベンダーとして大手企業が名乗りを上げるなど、アウトシーシングのイメージも大きく変わろうとしています。ただ、現状のアウトソーシング・ベンダーの中には、昔ながらの請負型、下請け型体質から抜け切っていない企業も多く、高度化、複雑化するニーズを考えると、企業として将来とも生き残っていけるのかどうか疑問もあります。そこで、アウトソーシング・サービス会社(アウトソーサ)を転職先として選ぶ際のポイントを考えてみました。

雇用規模の拡大が見込まれる
アウトソーシング市場

経営効率化の名の下にリストラが進む一方で、効率化の対象となった部門や業務の一部または全部を外注する「アウトソーシング」が活発化しています。今日のように先行きが不透明なままでは、生産設備や人材を自前で確保するのはリスクが大きいだとか、環境の変化に即応するためには人材の育成、情報収集、新規事業立ち上げなどに時間をかけてはいられない、事業資金を工場や設備などとして固定費化させるのはムダが多いなど、その背景にはいろいろありますが、いずれにしても、多くの企業が経営の効率化と新しい事業を具体化し、企業として生き残るために、外部資源を活用しようという方向に向かっているわけです。

しかし、それぞれの企業に雇用されている社員(労働者)としての立場から見れば、アウトソーシングの導入はイコール組織や業務の見直しであって、ことと場合によっては、職場を失うことにもつながるものです。現実に、早期退職制度などで社員のリストラを進める一方で、退職社員の後がまとして人材派遣会社からの派遣社員を手当するケースや、自社工場を閉鎖して人員整理、再配置を行いながら、他のメーカーからのOEM供給、あるいは製造専門アウトソーサへの委託によって商品生産は続行するというケースは少なくありません。多くのメーカーが、国内に持っていた生産子会社を整理して中国や東南アジアに生産拠点を移したり、合弁企業による生産を行っていますが、これは国を超えてのアウトシーシングといえるでしょう。

アウトソーシングで、社員はいなくなっても会社は生き残れる。そんな時代がやってきているわけで、現象面だけでみると、雇用されて働く側にとってアウトソーシングの隆盛は決して好ましいものとはいえません。ところが、企業がアウトソーシングを導入するためには、その業務を受託する組織、個人の存在が必要になります。たとえば、給与計算事務作業がアウトソーシングされ、社内の人事部門が担当しなくなったとしても、その業務自体が不要になったのではなく、給与計算事務を受託したアウトソーサが引き続き担っています。

つまり、業務がアウトソーサに移ると同時に、人材の需要もアウトソーサに移っていると考えることができるわけです。現実には、アウトソーサでは、一人のスタッフが複数の会社の業務をこなしたり、IT技術の活用による新しいビジネスモデルを構築するなどして省力化、効率化を図っていますので、スタッフは相当の割合で少なくなりますが、それでも、アウトソーサの増加に伴って、アウトソーサが雇用の面で大きな市場を形成することになるのは間違いないところです。少し古いデータになりますが、通産省(現・経済産業省)が98年6月に発表した調査結果によると、アウトソーシングの市場規模は2010年に33兆円、雇用規模は140万人になると計算しています。調査時点では約17兆円、約92万人ですから、まだまだ伸びる余地があるといえるでしょう。