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アウトソーシング市場の現状と会社選びの留意点 転職先としてのアウトソーサ(2ページ目)

アウトソーシングの市場規模は2010年には33兆円と予測されています。この市場を狙って、新規に参入する企業も増えているようです。転職先としてこれらの会社を見た場合はどうなのでしょうか。

執筆者:西村 吉郎

様変わりしてきたアウトソーシング
大手企業も続々と市場に参入

アウトソーシングという言葉は、80年代までは、コンピュータシステムの構築や運営といった業務での外部委託に限定されたものでした。当時のコンピュータシステムは汎用機を核に据えたものが主流で、高価なために自社で保有できないとか、購入できてもシステムを動かすソフトウエアを開発したり、運用できる人材が社内にいないなどの理由から、専門のシステムハウスや計算センターなどに業務を委託することが当たり前だった時代です。

その後、90年代に入ると、利益を生まない総務、人事、経理などのスタッフ部門の業務が外部に委託されるケースが増えてきました。いまでは、雑誌記事の編集制作、広告制作、市場調査、ビル清掃、警備など従来から専門会社に委託されるケースが多かった業務も含めて、「外注」や「外部委託」と同義語として、汎用的に使われるようになっています。

そういう意味では、アウトソーシングはかなり古くから実践されてきたわけですが、ここ2年ほどの間に、大きな変化が現れてきています。それは、経営企画業務や営業、財務、広報、法務などといった企業の中枢部分に当たる業務にまで、アウトソーシング・ニーズが広がり、それに呼応してこれらの業務を引き受けるアウトソーサが登場していることです。

このような流れについて専門家は、アウトソーシングが単なる経営の効率化を求める時代から、アウトソーサが持つ専門知識やノウハウを有効活用するとともに、社内に取り込んで組織の再編や新規事業の立ち上げ、新しい経営のあり方の構築などといった戦略的な意図を持って活用する時代に入った、としています。社会が高度化、複雑化して社内では対応できない課題が生じてきているとともに、すでに外注化できる業務の外部委託が行われ、もう一段の経営革新を進めるためには経営のパラダイムそのものを変えて行かざるをえない状況になってきているからです。

アウトソーシング・サービスは、いうまでもなく企業からの受注で成り立っています。発注者、受注者の関係でいえば、アウトソーサは仕事を発注してくれる企業には頭が上がらない関係にあるといえます。そのため、アウトソーサ=下請け会社というイメージを持っている人は少なくないのではないでしょうか。

しかし、戦略的なアウトソーシングでは、発注する側と受託する側の関係は、両者が共に力を合わせて会社を盛り立てていくパートナーの関係になります。アウトソーシングを活用する企業の側が、自社内では対処できない課題解決のためにアウトソーサの持つ資源を活用しようとするわけですから、アウトソーサは、それに対して専門家の目で見た独自の改善案や提示された案についての対案を出したり、受注内容についても部分的に修正を提起するなど、いわば経営者にモノ申すことも求められることになるからです。発注する企業が上位に立ち、アウトソーサは業務を受注するために相手のいいなりになるというのでは、従来の請負的なアウトソーシングと変わりはありません。
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