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有給休暇、取れてますか?(その1) 年次有給休暇の基礎知識

年次有給休暇は、働く者の当然の権利。しかし、その消化率は年々減少しているのが現状です。どうすれば年休を取れるのか。法的側面から勉強しましょう。

執筆者:西村 吉郎


国は、かつて欧米諸国から「日本人は働き蜂」呼ばわりされたことを背景に、法定労働時間の短縮、休日の増加に向けた制度改革を図ってきました。しかし、週休2日制は相当の割合で浸透し、週40時間制も導入されはしたものの、残業労働の削減、年次有給休暇取得の推進といった点では、意図したとおりに改善されず、年休消化率はむしろ悪化しているのが現状です。

厚生労働省は、例年、就業条件に関する調査を行っていますが、その調査における1996年以降の年休消化率を見ると、全体では96年の54.1%から、97年53.8%、98年51.8%、99年50.5%と下がり続け、2000年にはついに49.5%と半数を割り込んでしまいました。

年休消化率は、国がいくら声を上げても、各企業がそれに呼応していかない限り、改善されるものではありません。雇用されて働く立場からすれば、「休めるものなら休んでいる」はずですから、ここまで下がってしまったのは、企業側に問題があるといっていいのではないかと思います。

年休の取得は労働者に認められた当然の権利です。職場の上司や同僚に気兼ねする必要はありませんし、また、会社が意図的に年休を取らないようし向けている場合には、しかるべき機関に訴えて、会社への勧告を求めることもできます。この基礎知識編とケーススタディ編を参考に、賢い年休取得を考えてみてください。


年次有給休暇に関する基礎知識

まずは、年休に関する法的な基礎知識を身につけましょう。なお、ここでの解説は、愛知労働基準局と(社)全国労働基準関係団体連合愛知支部発行による小冊子、「労働時間法制の要点と労働時間の現状」を参考にしました。

年次有給休暇の原則
労働基準法第39条 使用者は、6カ月間継続勤務し全労働日の8割以上を出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。


同条第2項 使用者は、2年以上勤務した労働者に対しては、1年を超える継続勤務年数1年ごとに、勤続2.5年目までは前項の日数に1労働日、それ以降は継続勤務年数1年ごとに2日を加算した有給休暇を与えなければならない。ただし、総日数が20日を超える場合においては、その超える日数については有給休暇を与えることを要しない。




年休には、労働基準法に定められた法定年休と、会社が独自の制度に基づいて付与する会社年休の2種類があります。会社によっては、新卒入社組や転職者にも、入社したときから有給休暇を与えるところがありますが、これは法定外の会社年休であり、法定年休とは扱いが多少異なることに留意してください。

上の原則は、あくまでも法定年休に関する規定です。新卒であれ転職であれ、入社した日から6カ月継続して勤務すると、その時点で自動的に10日の年休をもらう資格ができ、さらに入社2年と半年目までは、1年継続勤務するごとに1日ずつ、入社3年と半年目以降は2日づつ年休は増えていきます。ただし、上限は20日です。具体的にいうと、入社半年目で10日、1.5年で11日、2.5年で12日、3.5年で14日、4.5年で16日、5.5年で18日、6.5年で20日となり、それ以降はずっと20日の年休になるという計算です。

この原則を含め、以下の留意点にもわかりにくい点は多いと思いますが、個々の疑問点についてはケーススタディ編を読んでいただければ理解できると思いますので、ここでは詳細な解説はなしでいきます。
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