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労働基準法を知ろう(第2回) 賃金支払いに関する5つの原則(3ページ目)

労働基準法の規定のうち、今回は、賃金に関する基礎知識をまとめました。ときに、「賃金支払いの5原則」について理解しておきましょう。

執筆者:西村 吉郎

【その3】全額払いの原則
賃金は、その時期に支払うべき額の全額を支払わなければなりません。ただし、所得税や社会保険料、雇用保険料については、法定で別途、賃金から天引きすることが認められています。会社によっては、組合費、親睦会費、生命保険料、旅行積立金、社内預金なども天引きされているものと思いますが、これらの根拠として、労使間で協定を結んでいる必要があります。

全額支給ということですから、給料の一部(残業代など)を翌月回しにすることはもちろん許されませんし、会社の備品を紛失または破壊するなどして損害賠償を求められている場合など、その賠償金を給与からあらかじめ差し引くことはできません。会社からお金を借りていて、月々いくらかずつ返済する約束になっている場合も同様です。

ただし、給与計算の期間に欠勤、遅刻、早退などがあり、就業規則などで、これら就労しなかった時間について賃金不支給とする規定が定められている場合には、相当額をカットすることは可能です。

【その4】毎月払いの原則
賃金は、毎月少なくとも1回は支払わなければなりません。ただし、賞与や1カ月以上の期間を定めて支払われる報奨金などは、この限りではありません。

毎月1回以上ということですから、月2回とか、毎週払い、その日その日の支払いといったものでもOKとなります。

【その5】一定期日払いの原則
給料は、一定期日に支払わなければなりません。ただし、たとえば毎月25日を給料日としている場合で、25日が休日にあたるときに、支払い日を繰り上げたり、繰り下げたりすることはできます。

一般的には、毎月の給料日が定まっている会社が多いのですが、中には、毎月月末が給料日となっている会社もあります。この場合、月によって28日だったり、30日、31日と給料日が異なることになりましが、このように、支払い日が特定できるものであれば、毎月末のような支払い方も認められます。

これに対して、毎月第3月曜日に支給するというように、日にちが特定できないやり方は原則に反することになります。

また、本人または家族の病気、災害などにより不時の出費を強いられる事情が生じたときは、労働者本人から請求があれば、会社は、それまで勤務した分に相当する給料の支払いを断ることはできません。これは、賃金の「非常時払い」と呼ばれています。

会社によっては、働いていない日の分まで「前借り」を認めるところもあるようですが、この前借りと非常時払いは別物。事情さえ正当であれば、非常時払いは当然の権利として要求できるのです。
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