転職のノウハウ/転職活動を始める前に

P・F・ドラッカー先生に学ぶ 転職者がなすべきこと6の手順(2ページ目)

経営学者ドラッカーによる、経営者向け行動手順を転職活動に応用してみました。

執筆者:西村 吉郎

手順4 評価尺度を設定する
どこまでなら納得できるかを決めておく
企業活動では、事業目標を定めるにあたって、成功か失敗かの判断基準を定めておく必要があります。たとえば、売上げ目標の80%を達成できたらよしとする、などです。この基準が明確になっていなければ、継続か撤退かの判断もできないことになります。

転職活動においても目的と目標を定めることが大事と言いましたが、転職先ですぐにその目標が叶えられることにこだわりすぎると、いつまで経っても納得できる会社に巡り会えないことになりかねません。

入社当初は目標とした給与に届かなくても、入社後の頑張り次第でよりいい給料をもらえるようになったり、当初の配属先が希望した仕事ではなくても、数年後の異動で希望が叶えられることもあります。初めからパーフェクトを狙うのではなく、ここまでならまあ納得できるという線を決めておくと、それだけ選択の幅も広がることになります。


手順5 フィードバックシステムを確立する
行動の結果を正しく分析する
企業活動においては、事業の評価は目標設定した時期に初めて下されるのではなく、1カ月とか四半期といった単位で、実際に現れた数字などをもとにして担当者に対し状況説明が行われ、方向性が間違っていないかどうかを確認していくことになります。これがフィードバックシステムです。

個人として活動する転職で、フィードバックシステムが必要かどうかと疑問に思われる方もいるかもしれませんが、転職活動のパフォーマンスについての評価は、応募先企業から採用・不採用の形で返ってくるのです。納得のいく会社から採用通知が届けば、その時点で一応の目標達成となりますが、もし不採用となった場合、その原因がどこにあるかを冷静に分析、反省する必要があります。その分析結果を次の活動に生かすことが、転職におけるフィードバックシステムといえるでしょう。


手順6 監査システムを確立する
人材エージェントなどの活用を考えよう
最近、コンプライアンスという言葉がよく使われるようになりました。企業が法令や社会常識に則って運営されているかどうかをチェックする、という意味ですが、昨今の会社不祥事の例に見られるように、このコンプライアンスが機能していないケースも少なくないようです。

転職活動で法令に違反するような行為はまず起こりえませんが、活動の進め方自体が正しい方向に向かっているかどうかの監査システムとして、人材紹介会社などを活用してみることをお勧めします。

人材紹介会社では、適性やキャリアに関する相談から、実際の転職活動における応募書類の書き方、面接の受け答えなどについて指導してくれます。運悪く不採用になったときは、応募先企業にその原因をヒアリングし、次の機会に生かすためのアドバイスもしてくれます。

人材紹介会社というと、相当にキャリアのある人向けで、自分には縁遠い存在というとらえ方をしている人が多いようですが、それは誤解です。ある紹介会社のコンサルタントは、「優秀な人は私たちの助けがなくても転職できる。私たちはごく一般の、アドバイスを必要とする方のためにいるんです」と話しています。自分の活動に誤りがあればチェックしてもらうといった相談もできますので、一度たずねてみましょう。


*経営コンサルタント・小宮一慶氏の著書「経営という仕事」(ビジネス社発行)を参考にさせていただきました。
【編集部おすすめの購入サイト】
楽天市場で転職関連の書籍を見るAmazon で転職関連の書籍を見る
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます