02年12月に公表された「労働力調査・速報」によると、11月時点で何らかの仕事に就いている人のうち9.6%に当たる609万人が転職を希望しており、このうち実際に転職活動している人は279万人にのぼっています。転職希望者は前年同月比で45万人減少したのに対し、転職活動を行っている人は23万人増加しました。転職を考えてはいても、何かしらきっかけがないとなかなか踏み出せないものです。転職を決断した要因は人それぞれでしょうが、労働条件や職場環境が厳しさを増しているということでしょうか。
一方で、完全失業者は338万人。01年3月以来20カ月ぶりに前月比でマイナスになりましたが、注目したいのは、自己都合により退職して失業状態となった人がいまだに107万人もいるということです。
私自身は、自分の夢やキャリアプランに沿って積極的に転職することをすすめていますが、しかし、そのことで、トットと会社を辞めてしまい、生活に不安を抱えるような状況になってしまったとしたら申し訳ないことです。そこで、ガイドとしてのスタンスを明確にするためにも、失業期間を置かない転職を提案します。ただ、失業するなといっても、現実には「仕事しながらでは、忙しくてとても転職活動できない」という人もいるでしょうから、別立てで、「転職先を決めてから辞めよう(2) 働きながらの転職活動術」としてまとめますので、あわせてご活用ください。
失業するとソンする理由、その1
せっかくの蓄えがどんどん減っていく
失業すれば、当然ながら収入は途絶えます。そこで、再就職できるまでの間の生活を支える仕組みとして雇用保険制度があるわけですが、この雇用保険は、会社側の事情で失職した人や、勤務時間など労働条件が劣悪だったり、給与の遅配が始まった場合のように同情すべき余地がある理由で退職した人には、受給の手続きをとった日の翌日から数えて8日経つと支給が始まります。ただし、お金が自分の口座に振り込まれるには2~3週間後です。
これに対して、まったくの自己都合で退職した人は、受給の手続きをとった日の翌日から7日(待期といいます)プラス3カ月(給付制限といいます)もの間、支給が先延ばしされます。ようやくもらえるようになったとしても、お金が手元に届くのはさらに2~3週間先です。つまり、自己都合で退職した場合は、雇用保険で生活できるようになるまでには約4カ月間待たされるということです。
貯金や退職金で4カ月程度は何とかなる人もいるでしょう。しかし、ただ生活を維持するためだけに、せっかくの蓄えを減らしていくのはもったいないことです。また、保険の1日当たり給付額(基本手当日額)は、退職する以前の6カ月間にもらった給与の平均額の6割程度でしかありません。月給30万円もらっていたとすれば18万円、月給25万円なら15万円です。住居費その他生活にかかる経費は変わりませんから、退職する以前と同じ生活水準を維持しようとすれば、失業手当がもらえるようになったあとも、貯金からの持ち出しは続くことでしょう。
給付制限期間中にアルバイトやパートとして働いても、雇用保険の受給には影響しません。支給が始まったあとでも、アルバイトを続けることはできます。ただし、仕事した日の分は、手当の支給が先に繰り越されるので、生活費を補うためにアルバイトするのは意味がありません。