なんらかのトラブルを生じさせるような辞め方をすると、それがいつかは転職先にも伝わって、自分自身の評価をおとしめる結果となります。
CASE6
妻の不用意な対応で転職がフイになった
Fさんは、家族には内緒で転職活動を進めてきた。反対されることは目にみえていたが、転職先を決めてから切りだせば説得できると思ったからだ。運良く希望どおりの転職先が決まり、今日こそ妻に打ち明けようと考えていたある日、内定先からケータイに電話が入り、「内定は取り消します」という。理由を尋ねてもはっきりした理由が伝えられないまま帰宅したFさんだが、妻の言葉で事情を理解した。○○という会社から電話が入ったが、何の用件か聞いてわからなかったというのだ。Fさんは、そのときになって現在転職を考えていること、電話を受けた○○に入社が内定していたことを打ち明けたのだが、妻は予想どおり転職に大反対。結局、○○社はもちろん、他社に転職することも当面あきらめざるを得なくなってしまった。 |
転職すると、当然、待遇や勤務条件は変化します。その変化がいい方向に向かえばいいのですが、思ったより給与が低かったり、残業が多くなったりすると、家族からの不平不満の声が上がることになります。
円満退職というと、会社や取引先との関係だけにとらわれがちですが、家族の同意が得られるかどうかは大事な問題です。会社によっては、このケースのように、内定者の自宅にわざと本人の留守を見計らって電話を入れることもあります。電話を受けた妻に会社名や用件を伝えたときの反応から、夫婦間のコミュニケーションがうまくいっているかどうかを探ろうとするわけです。
転職者を迎える側にとって、転職者が転職に伴う変化を上手に受け止め、仕事に全力投球できる環境にあるかどうかは気になるところ。円満退職が大事ということのいちばんの理由はここにあるといっていいでしょう。
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以上、6つのケースは、ガイド自身が直接見聞した実話をもとに多少脚色を加えたものです。
ガイド自身、最初の会社を辞めるきっかけになったのは上司とのケンカでした。ケンカしたその日に「辞めてやる!」と飛び出して、そのまま帰宅。翌日は、会社の近所の喫茶店に電話で上司の上司(社長です)を呼び出して退職を通告。いまにして思えば、なんとまあメチャクチャだったのだろうといまさらながら恥ずかしく思っています。ただ、いったん退職を了承してもらってからきっちり1カ月間、仕事を続け、退職する日には歓送会まで開いてもらいました。さすがに同僚だけの集まりでしたけど。
いずれにしても、どういう辞め方をするかはその後の自分に跳ね返ってくる問題です。CloseUp!完璧な残務整理・業務引き継ぎ術もご参考に、悔いのない退職を心がけてください。