規模が大きく安定していて、将来性もあって、それなりに名前も知られていて、給料もよくて、社員にやさしくてなど、こんな条件が揃っている会社であれば、世間一般には「いい会社」ということになるでしょう。しかし、個々人にとっては、こうしたこと以上に重要なポイントがあります。それは、その会社の業務内容や管理体制などが自分の個性や仕事観、人生観といったものに合致するかどうかです。はたから見ていい会社が、自分にとってもいい会社であるとは限りません。
自分に合った会社を選ぶために、どこをどう見ていけばいいのでしょうか。5つのポイントを考えてみました。
POINT1 キャリアアップが可能な仕事があるか
技術の進歩や社会の変化が著しい昨今、企業の将来を見極めることは、銀行の融資担当者や経営コンサルタントなどプロの目をもってしても難しい状況になっているといわれます。大きなシェアを持っている会社であっても、ちょっとした経営の舵取りのミスで評判を落とし、ときには会社の存続すら危うくなったり、逆に、一つの発明発見で小さな会社が大きな収益を得るようになるケースもあったりします。
いずれにしても、会社の今現在の経営データをもって、安定性や成長性をうんぬんすることは意味のないことになりつつあります。10年後、20年後に会社がどうなっているのか、誰にも予測できないことだからです。そこで、私たち一人ひとりには、会社がどうなろうとも、自分の能力で活路を切り開いていくことができるだけのキャリアを身に付けることが重要になってきます。どこででも通用するキャリアをどこでどう身に付けるか、それが問題なのです。
会社を選ぶにあたっては、自分が目標とするキャリアを構築する上で、その会社で働くことがプラスになるのかどうかを、第一に考える必要があります。その視点を持たずに入社し、ただ与えられた仕事をこなすというのでは、いざ年齢的に中堅どころとなって、相応の働きが求められるときになって、これといって後輩を指導できるような専門性もノウハウも身に付いていないということになりかねません。
ただし、一つの会社で生涯に渡ってのキャリアアップが可能かどうかを考える必要はありません。とりあえず5年後くらいの自分の目標を設定し、そこに到達するために必要な知識、ノウハウの一部でも得られるかどうか程度で判断していいのでないでしょうか。一通りキャリアアップが自覚できた段階で、さらにその会社で得られるものがあると思えるなら勤め続けるもよし、これ以上得られるものがないと判断したときは、次の目標に向けて新しい会社を探すもよし。ドライに見えるかもしれませんが、組織に頼った生き方は会社が拒否する時代ですから、気にすることはありません。