転職のノウハウ/内定・入社・退職手続き

執拗な慰留工作をどうかわす?(2ページ目)

スムーズ退職は転職成功のポイントのひとつ。せっかく決まった転職をフイにしてしまわないために、引き留めを賢くかわす術も身につけておきましょう。

執筆者:西村 吉郎

慰留工作をかわす5つのポイント

退職理由として本音をいわない
退職の意思表示をすると、上司は必ずといっていいほど転職の理由を聞いてきますが、このとき、ほんとうのことを正直に答えるのは避けるべきです。「もっといい給与が欲しい」とか、「現在の職場ではやりたい仕事ができない」などと現状への不満を持ち出すと、「じゃあ、給与をあげてやろう」、「希望の仕事に移れるよう手を打ってやる」などと工作されやすく、これらが実現してしまえば逃げ場を失ってしまうことになります。

退職理由を聞かれたら、「家庭の事情」で通すのがいいでしょう。家業を継ぐことになった、田舎の親の面倒を見ることになったなどという理由であれば、上司には反論の余地はないはずです。

強行手段をほのめかす
上司が退職願を預かったまま部長や社長などに報告せず、いつまでたっても話が前に進まないケースでは、人事に直接退職願を提出する、あるいは社長あてに郵送するといった手段に訴えることをほのめかすだけで、状況が変わることになるでしょう。自分の立場を気にする上司ほど、頭越しに交渉されることを嫌い、恐れるからです。

中には社長本人が退職を承認しないということもあるでしょうが、法律上は、会社が承認するしないにかかわらず、人事権のある部署あるいは経営者に退職願が届けば、そのことをもって、退職の意思表示があったと判断され、その日から2週間が経過すれば自動的に雇用契約は解除されることになっています。いつまでたっても承認してもらえないときは、この民法の規定に従って最終的に退職の意思表示をしてから最低2週間の期間を置けば退職すれことができます。

退職日は自分で決める
一般論でいえば、退社日をいつにするかは自分だけで決められるものではありません。会社特有の繁忙期を避けるのはもちろん、自分が携わっている仕事の流れを無視して、突然退職してしまっては、自分勝手と批判されても仕方ありません。

かといって、上司に退職日を一任してしまうのも得策ではありません。ヘタをすると、「3カ月待ってくれ」とか、「もう半年」などと、引き延ばしにかかってくるのは必至だからです。上司と相談のうえ決定するのは当然のことですが、いつ退職したいのか、自分の希望もはっきりと伝えることが大事です。

原則としては、会社の就業規則にある退職に関する条項を守るようにすれば十分です。ただ、規定通りだと、上司から「もう少し先に延ばせないか」などと頼まれたときに断りづらくなってしまいます。そこで、自分の方から、就業規則に定められた日数にいくらか上乗せして、配慮していることを示すのも一つの方法です。規定で「2週間前」とあれば1カ月先に、「1カ月前」とあるなら1カ月半から2カ月後くらいに退職日を設定すれば、上司にとってはつけいるスキがないということになるでしょう。

迷いを見せない
慰留工作に応じるような姿勢や迷いを少しでも見せると、相手は脈ありとみて、さらに強行に引き留めにかかってきます。

辞めると決めたら、その意志を貫くことです。どう説得されても翻意しない姿勢を見せれば会社もいずれはあきらめます。

転職先はぜったい明かさない
同業他社に転職することが明らかになると、会社の慰留工作は一段と強行になります。自分の会社から人材がいなくなるだけでなく、業務上の機密まで漏れるかもしれない状況になるとあっては、それも当然でしょう。

同業他社に転職するのではない場合でも、転職先を明らかにすることは絶対に避けるべきです。その転職先との比較で、「それならウチもそれほど遜色ないはずだ」といった、つけいるスキを与えることになるからです。過去、会社の社長が転職先に乗り込んで、先方の社長に社員を引き抜かないよう直談判したという話もありました。

そこまでいかなくても、何らかの妨害工作をされないとも限りません。すでに転職先が決まっていたとしても、を聞かれたら、「辞めてからじっくり探します」くらいに答えておきましょう。
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