文章:石原 敬子(All About「よくわかる経済」旧ガイド)
昨今の企業経営では、経済環境の変化により、ワークシェアリングで景気の浮き沈みに柔軟に対応させたいニーズが増えています。子連れ出勤を導入し、眠った有能な労働力を活かしている企業、モーハウス(モネット有限会社)。平成21年度内閣府「女性のチャレンジ賞(男女共同参画担当大臣賞)」を受賞した、同社の事例をご紹介しましょう。

<INDEX>
「ワーク」と「ライフ」をミックス(1P目)
モーハウスの「子連れ出勤」(2P目)
「子連れ出勤」特殊な例にあらず(2P目)
「小さく働く」労働ニーズ(2P目)
企業にとっての「子連れ出勤」(3P目)
社会にとっての「子連れ出勤」(3P目)

「ワーク」と「ライフ」をミックス

青山店舗
ワーク(仕事)の中に、ライフ(子育て)を持ち込んだ就労スタイル、「ワークライフミックス」を実践するモーハウスの店舗
「子どもと一緒に出勤、職場で授乳、寝かしつけも!」という就業スタイルを導入しているのは、授乳服メーカーの「モーハウス(モネット有限会社)」。茨城県つくば市に本社を置き、直営店が青山・表参道にある同社では、いとも自然に、子連れ出勤を取り入れています。

「ワークライフバランス」という言葉が一般化して久しくなります。同社の子連れ出勤という就業スタイルは、「ワーク」である仕事場に「ライフ」である育児を持ちこんでしまおうという、「ワークライフミックス」という考え方に基づいています。

大企業によくある、企業内託児所ではありません。子どもは仕事をする母親の傍らで過ごすのです。

子連れで仕事、というと「職場に子どもがいて仕事になるか」との反論もあるでしょう。しかし、少し前の日本では生活と仕事が混在していたことを思い出してみて下さい。農家に生まれた赤ちゃんは、農作業をする傍らの籠の中で昼寝をし、田畑を走り回りながら育ちました。商店に生まれた赤ちゃんは、店先で働く母親におぶられながら大きくなりました。

モーハウス代表の光畑由佳氏は「働くママが日本を救う!『子連れ出勤』という就業スタイル」(マイコミ新書、819円)を2009年5月に発表、自然な形での子連れ出勤を提唱しています。

子連れ出勤は、一見、難しそうな就労形態ととらえられがち。しかし、モーハウスでは、母親という“人財”をうまく活用しています。単に、子どもを預ける場所がない母親が、子連れで職場にくるのではないのです。

子連れ出勤には、もしかしたら本当に、雇用問題のいくつかを解決する糸口があるかもしれません。本のタイトルは、決して大げさな話ではないでしょう。

では、実際にモーハウスではどのように子連れ出勤を実践しているのでしょうか。次のページでご紹介しましょう。