「なんでもジェンダー論」では片付かない

蓮舫さん
「なんでもジェンダー、というのには違和感が」(蓮舫・参議院議員)
ガイド:さて、ジェンダー的な問題が少子化対策を妨げているという話しもありますが、いかがなのでしょう。

蓮舫さん:なんでもジェンダー、男女平等で(論じる)というのに私は違和感があって。たとえば母乳あげる6ヶ月の期間はとても大事で、このとき男性は(母親の役割に)なれない。例えば育ててきて思うんですが、男性は子どものケガに対してほんとうに鈍い(笑)。そんなのないですか? こういうことの性差というのはあると思います。

その性差は認めた上で、育児はシェアしようよ、ということで、なんでもジェンダーじゃないんですよ。育児が楽しい、という大事なことがメッセージとして伝わっていない。ほんとに楽しいんですよ。楽しいはずの育児を「押し付けよう」という感覚をどうやって薄めるか。そこはジェンダーをなくしてとかで解決するんじゃないんですよ。

藤野さん:中絶がすごく多くて、その中で未成年が4倍くらい増えてる。かつては1950年が117万件ですか、そのうちの1万件くらいが未成年だったのが、(今は)4万件にまでなっている。これは教育の問題ですとか、家庭の問題ですとかいろいろとでてくるんでしょうけど、それに対してのことが必要で。

蓮舫さん:数値だけの話でいうと、30万人の中絶されないかもしれない子どもたちを入れて、そこに不妊治療で7組に1組という人たちが幸せに産めたら出生率は1.5までいく。(ただ)これはもし、IFですが。

教育や保育園現場の改善が必要

大場さん(「共働きの出産・子育て」ガイド):自分自身が5人子育てをしています。15年間で5人産んだんですね。5人産んでから経営者になったので、それまでいろいろと契約社員を経験しながら……

意識という面で、メディアの影響が大きいと思います。産みたくないという認識、お金かかるとかいう認識が(広がって)。……キャンペーン名称が「少子化対策」なのに、少子化、少子化と略して言っちゃうので、ネガティブになってしまう。「多子化」といえばいいのにと思ったり。もっと前向きに。

あと、今生まれている子どもたちが死んじゃいけない、自殺についての教育を。300人から500人の小中学生が自殺しているこの国というのは異常さを感じてまして。また、女子中高生が感染している性感染症、厚生労働省が取り組んでいますが、もっと教育や政治のほうで制度や意識づくりと言うのができたら、(性感染症のため)将来産めなくなる子どもを減らすことができる。

産院の閉鎖について……正常分娩のほうが8割と多いのですが、予算は異常分娩の方にとられて、ナチュラルに子どもを産むという8割が(産院の閉鎖によって)困ってしまう。

働いている女性が産むというムーブメントを作るためには、公立保育園の2期入園制を見直していただけないかなと思います。10月に産んだら4月に入れる、そうしないと入れないという。出産時期にストレスを感じるので自然妊娠も難しく、不妊症でもないのに不妊という人も多いです。

蓮舫さん:それ(保育園の問題)に対して国政が遠いなあと考えるのは、一番リアルなのは公立保育園の拡充なんですよ。全国の公立保育園の定員数は上がっているんです。でも待機児童は25000人いて東京だけでも5000人。何かというと早朝サービス、夜間サービス、休日サービス、看護保育、なんにも公立でやってないからなんですよ。公立が一番サービスが悪い。

公立の保育をどうやって充実させるか、二期入園も含めて。そういうことをやらないで、「今のお母さんたちは保育と教育を望んでいる」といって幼保一体化をしようとする。だれも望んでないんです。ゼロ歳児から英語を教えるような制度をすすめることがいかに非現実的か、こういうことを今の政治はやってます。私はムダだと思っています。

大場さん:長野のある自治体では「子ども課」というのができて予算が集約されています。(国レベルでも)子ども省というのができてほしいなと。

蓮舫さん:環境省、当時は環境庁ができてきたときの経過を見ると子ども省ってできるんですよ。庁をおいて、(中央省庁の)各部門から子どもに関することがありますから、そこから人を入れていって、予算措置を内閣でして、動かすことは可能だと思います。

韓国が女性省を作ったから緊急少子化対策予算が4兆円つくれたんです。日本はできない。

少子化時代にこそ必要な「家族の絆」

家族
家族の「絆」がなによりもかけがえのない社会であれば……
ガイド:最後に、少子化時代の教育について、伺いたいのですが。藤野さんは食育の専門家でいらしゃって。その辺りのお話を。

藤野さん:食育という言葉だけだと、栄養ですとか食べることだけにとらわれそうな気がするんですけど、一番食育のなかで人を健やかに作っていくということ、大きくグローバルに食糧事情、食糧問題、自給率の問題、リスクの問題、全部含めて日本では食育と形で言っているんですけれども。

その中で特に教育と言うところでいいますと、日本の食が、さっきの自殺ですとか、1つの社会問題を引き起こしてしまっているということで、国がリーダーシップを握ろうと。これは今に始まったことではなく、明治の頃から「食が足りて全ての教育がなる」といわれてきたところに戻ってきたというところだと思うんですけど。

私は食というところで、家庭の絆、家族の絆というのがかなり壊れてきているのかな、それが子どもの心を弱くしているとても大きな原因のような気がしていて、家族がもう少し、お母さん支援ですよね、時間的な制度とか労働のしかたの制度を変えることによってもう少し家族とともに時間を過ごせるような家庭のあり方というのをもどしていく必要があると思います。

教育というと文部科学省がやっていて学校の教育というのは手を入れやすいんですが、家庭の教育というのはすごく難しくて、そこが一番大事なところだと思うんですね。だからこうした女性の力というか声というものをあげていくような方向性をもっていかなければ。

蓮舫さん:(混同されがちな)学校の教育と家庭の教育、しつけというのは違うんだというところから始めて、そのかわり学校の教育は夢を持たせる。「志」に変えられる力を持たせる。家庭はそれを支える。

それが一体となってはじめてこの国に人材というものが育っていくし、その子たちはこの国に生まれてよかったと、思える子どもたちに育って、その子どもたちが社会というものを作っていく。そこには可能性が出てくる。可能性は次の世代に育まれてくる。育みたいと思える力になると思うんですね。

今はそれが全部動脈硬化を起こしているような気がして、責任をだれもとらなくなってきて、どこかに押し付けるようになってから血液ドロドロのような社会になってきて、これをさらさらにするための潤滑油というのを政治がやらなければいけないんだろうなあと思ってます。

ガイド:今日はとても勉強になりました。ありがとうございました。

少子化問題を女性議員が語る、前編はこちら。

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