社会ニュース/よくわかる経済

金メダルに貢献した水着、株価下落の理由

英スピード社の水着の国内販売権を持つ、東証一部上場のゴールドウイン。北京五輪を株価材料に、どのような動きをしたでしょうか。株式投資の判断に役立つヒントをお伝えします。

執筆者:石原 敬子

文章:石原 敬子(All About「よくわかる経済」旧ガイド)
北京五輪開催前から、何かと話題になっていた英スピード社の水着、「レーザーレーサー」。これを取り扱うゴールドウインの五輪開幕後の株価から、株式市場によくありがちな、ある「クセ」を解説しましょう。

<INDEX>
「材料出尽くし」とは(1P目)
もしもあなたがゴールドウイン株を買うなら?(1P目)
安く買いたいなら、高いリスクを覚悟(2P目)
安い株価の陰には、不確実な要素が(2P目)
金メダル獲得で、株価は?(2P目)
イベントがゴールになりやすい(3P目)
株価材料についていくのは、いつがよいか?(3P目)

「材料出尽くし」とは

畑
「この材料なら、株が上がるぞ!」と思って買ったのに・・・。一瞬大きく上がったのは、「真夏の夜の夢」だったのか?!
その「クセ」とは、「材料出尽くし」のこと。材料出尽くしとは、あるニュースの発表前の予想などの思惑をきっかけに株価が動いていた場合で、そのニュースが実際に表に出た時に、株価がすっかり反応しなくなってしまった状態のことです。

英スピード社製品の日本国内販売権を持つのは、東証1部上場のゴールドウイン。北島選手が男子100m平泳ぎで優勝した8月11日からゴールドウインの株価は大幅に下落、2つ目の金メダルを獲得した14日も引き続き下げています。

実は、これは特に珍しい株価の動きではなく、よくあることなのです。

それまでのゴールドウイン株は、北京五輪でスピード社の水着を着用する選手の活躍を材料に、買われてきました。ところが、実際にレーザーレーサーを着用した北島選手が1つ目の金を獲得した時点で、既にこの材料はゴールに手が届いてしまい、古いニュースとなってしまったということなのです。

もしもあなたがゴールドウイン株を買うなら?

では、ここで実際のゴールドウイン株の動きを使って、投資の練習をしてみましょう。

6月8日、ジャパンオープンで北島選手はスピード社のレーザーレーサーを着用し、自己ベストを短縮しての世界新記録を樹立。それに先立つ5月中旬には、「6月のジャパンオープンで選手が試着した結果を評価させ、6月10日に水泳連盟が水着の規定改正に関する結論を出す」と報道されていました。

あなたがその頃、ゴールドウインの株を買ったとします。(必ず買わなければならないとします。練習ですから!)次の3つの買い方のうち、どれがあなたの判断に近いですか?

(1)6月9日に「明日、連盟が水着の規定を改正するらしい」と聞き、正式発表前だけれど、一か八か、買ってみた。

(2)6月9日の段階では、「明日の連盟の正式発表を聞かないと、ゴールドウインの株は買えない」と思い、10日の報道を聞いて、前日より上がっているけれど、買った。

(3)連盟の正式発表を受けて6月10日の株価は上がってしまい、躊躇。翌11日または12日まで迷って、それでも上がっていたので、「乗り遅れてはいけない」と思い、11日または12日に買った。


さあ、あなただったら(1)~(3)のどれに近い買い方をしますか?正解を考えるのではなく、あなたの投資行動を探るためのものです、さあ、あなたなら?

気になる結果は、次のページで!
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