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金メダルに貢献した水着、株価下落の理由(2ページ目)

英スピード社の水着の国内販売権を持つ、東証一部上場のゴールドウイン。北京五輪を株価材料に、どのような動きをしたでしょうか。株式投資の判断に役立つヒントをお伝えします。

執筆者:石原 敬子

安く買いたいなら、高いリスクを覚悟

では、実際の株価を振り返って、あなたはいくらで買えたかを見てみましょう。前ページで選んだ(1)~(3)のところを読んで下さい。

(1)200円台でゴールドウインの株を買えました。

(2)319円から379円の間で、ゴールドウインの株を買えました。

(3)439円から539円の間で、ゴールドウインの株を買えました。


4月頃から行われていたレーザーレーサーのテストは好調で、実はそのあたりから株価には動きが出ていました。4月に200円前後だった株価は、北島選手が6月のジャパンオープンで「泳ぐのは僕だ」とTシャツでアピールするまでには、既に約20%上昇。

その後、6月10日の連盟の規定改正によって、選手は自由に水着を選べるようになりました。これで日本選手は、ゴールドウインが取り扱うスピード社の水着も着用できるのです。

すると、ゴールドウインの株価は急騰。2日後にはそれまでの2倍以上の539円にまで上昇しました。

これが、話題が集中した時の株価の動きというもの。しかし、これはあくまでも「飛び乗り・飛び降り」派の株式投資。「企業に投資」というよりも「話題に投資」というケースですから、特に投資初心者が飛びついては危険です。

それは、後述する、株価の引き潮の速さで説明がつきます。

安い株価の陰には、不確実な要素が

よく「株式投資は安く買って高く売るのが基本」と言われます。けれども、株価が安い時期は、多くの投資家がその株価材料に確信を持っていない時でもあります。

図表1:ゴールドウインの株価チャート
(2008年5月1日~6月30日、東証終値)


このケースでは、確かに連盟が正式発表をする前は安く買えています。しかしその時点では、「これまで通り、日本水連と契約する3社の水着以外の使用禁止」という結論になるリスクも抱えているのです。話題につられて株価が先行したものの、北京五輪で着用できなければ、株価は大きく下落すると考えられます。

晴れて、選手が水着を自由に選択できると分かると、投資家は安心してゴールドウイン株を買うことができます。ところが、みんなが安心して買えるということは、それだけその株に人気が集中しますので、当然株価は高くなってしまいます。

リスクという面では、実際にスピード社の水着を着用した選手が好成績を収めるかどうかは、五輪が始まってみないと分かりません。しかし投資家は、スピード社の水着を着用する日本選手が活躍することに、高い確信を抱いていたのでしょう。株価はあっという間に539円まで上昇しました。

しかし悲しいかな、低迷する株式環境の下では、投資家の関心は長続きしません。株価の逃げ足は速く、いったん連盟が水着の選択自由を決定してから、株式市場の話題は他に移ってしまいました。7月のゴールドウイン株は、連盟の規定が改正された6月10日の水準をやや下回るあたりで推移しました。

選手の水着選択が自由になったことを材料にゴールドウイン株に飛びついた投資家は、その後北京五輪開催までの2カ月近くを、ヤキモキしながら株価を眺めることになってしまったのです。

金メダル獲得で、株価は?

では、もう1回、投資の練習をしてみましょう。今度は売りの練習です。6月にゴールドウイン株を買ったあなたは、北京五輪を材料にしていたので、そろそろ売りを考えたとします。(必ずこの時期に売るとします。練習ですから!)

さあ、あなただったら、次の(1)~(3)のうち、どのように考えて売りますか?

(1)8月に入ってから北京五輪の開幕式(8月8日)までに、売る。

(2)北島選手の最初の決勝、8月11日に、売る。

(3)北京五輪の競泳の全スケジュールを見てから、売る。


気になる結果は、次のページで!
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