期待はずれの本、騙されたと思う?
どんどん複雑化するものにもついていかなければならないのは、どんな商品でも同じ |
敢えて違いを述べるなら、金融商品は、ちょっと前まで競争のない商品だったということと、何かあったら国が保護をしてくれる商品だったことが、利用者の知識レベルの向上を阻害し、いつまでも難しいと思われている理由でしょう。
例えば、本屋さんの店頭で「おすすめ本」と書評が出ていて、「おもしろそう」と感じた新刊本を購入したとします。読んでみたらそれほどおもしろくなく、自分はあまり共感できなかったとします。こういう場合、あなたは本屋さんに対してどう思うでしょうか。その本に対して、どのように感じるでしょうか。「お宅の書評を見て買ったのに、ちっともおもしろくなかった」とクレームを言いに行きますか?それとも、好みは人それぞれ、自分にはあまりピンと来なかったと諦めるでしょうか。
元本割れの投資信託の場合は?
金融機関で、例えば店頭で薦められた投資信託を購入して、運用成果がうまくいかない場合に、購入時に応対をした担当者やその金融機関に対して「だまされた」と感じる人は、まだまだ多いようです。これは、いろいろなケースがあるので一概には言えませんが、決して金融機関側が全て悪いとも言い切れないのではないでしょうか。
もし、投資信託を販売するにあたり、必要な全ての情報提供を金融機関側がしていなければ、金融機関側の落ち度を責めることはできます。しかし、投資家側の理解不足があることも否定できません。
これは、決して金融機関側を弁護するわけではないのですが、セミナーや金融講座などでいろいろな方のお話を直接お聞きすると、残念ですがまだ利用者側の甘えが残っているようにも感じるからです。
「難しいことは理解できないから聞く耳を持たず、“何%儲かるか”だけが分かれば良い」という姿勢で説明を聞いてしまう方が多いのも事実です。
あなたのレベルアップが金融界を監視する
冒頭で、投資家や利用者がフィルターになると言いましたが、金融商品の消費者としての見る目を持つ人々が増えれば増えるほど、金融商品に関するトラブルは発生しにくくなります。説明の不十分な金融機関には、足を運ばなくなりますし、投資対象として少しでも怪しい点があれば、投資をしなくなります。まだ、日本の金融市場は欧米から見ても未成熟といわれますが、決して業者側だけの問題ではなく、投資家や利用者が対等な立場に立つだけの知識を蓄え、業者を監視するだけの能力を備えるようになれば、金融不祥事は減るでしょうし、複雑なルールも不要になるのではないでしょうか。
ちょっと厳しい意見かもしれませんが、法整備やルール化だけではなく、市場参加者や消費者が厳しい目を持ち、悪を淘汰するフィルターになることが健全な金融業界を育てるのではないかと思うのです。
日本の金融業界を、投資家や利用者が審判するようになる時代を迎える日を楽しみに、今後も皆さんに金融用語や経済用語を噛み砕いてお届けしていきたいと思います。
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