文章:石原 敬子(All About「よくわかる経済」旧ガイド)
ライブドアに続き、村上ファンドにも東京地検特捜部は目をつけていた?!村上ファンドには「インサイダー取引違反」の疑い。上場企業に勤めているあなた、うっかり「ここだけの話」に耳を貸すと、インサイダー取引違反と疑われることも。この「インサイダー取引」とは、いったいどういうものなのでしょうか?

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レアネタで株の売買、これインサイダー(1P目)
知らなかったではすまされない、インサイダー(1P目)
上場する自社株の売買で気をつけること(2P目)

レアネタで株の売買、これインサイダー

お札
「ここだけの話」で株式取引をするとインサイダー
事の大小を問わなければ、どこでもありがちな「ここだけの話」。うっかり、この話を元に株式の売買を行うと、インサイダー取引に引っかかることもありますので要注意。インサイダー取引とは、上場会社の役員・従業員や大株主など(「内部者」といいます)が、その会社の重要な情報が公開される前に知っていて、それを元にその上場会社の株式を売買することをいい、証券取引法で規制されています。

なぜ、インサイダー取引が違反なのでしょうか?よく考えてみて下さい。一般の人は、公表される前の情報を知らないわけですが、自分がその情報を当然知らずに、ある上場会社の株式を買ったとします。その翌日、その会社にとって、とても悪いニュースが流れた場合、たいていその株価は下がります。もし、自分が買った頃、その会社の役員や従業員は、とっくに悪いニュースを知っていて、「公表されたら株価が下がるから、今のうちに自社株を売っておこう」と売り注文を出していた、ということを知ったあなたは、どう思いますか?

不公平だと思うでしょう。この不公平は、株式という、本来、公正な取引を前提とした売買を行う場所では、あってはいけない事なのです。一部の人だけが知っている情報を元に、株式の売買を行っていたら、健全な株価とはならなくなってしまいますし、そんな市場は投資家から信頼されなくなります。

よく冗談で、「良い情報あったら先に教えてよ、お宅の会社の株を買うから」なんていう会話が聞かれますが、これがまさに、インサイダー情報なのです。

知らなかったではすまされない、インサイダー

しかし、実際会社に勤めていて、社内では進んでいるプロジェクトに関する「内部情報」が、いつ報道されて「公開情報」に変わっているのかなんて、いちいち気にしていないよ、ということも多いでしょう。また、どこからが「重要事実」に該当するのかについても、よくわかっていないという役職員も多いと思われます。

公開情報とされるのは、その会社の代表取締役が、重要事実を一般紙やテレビなどの報道機関の2社以上に公開して12時間経過したり、証券取引所のホームページ上で公開されたものを指します。それ以前の情報は「内部情報」または「非公開情報」「未公開情報」なのです。

また、どこからどこまでが重要事実なのか、という情報の種類についても判断基準が設けられています。証券取引法では、次のような情報は、インサイダー規制の対象となる重要事実とされています。

・株式の発行や減資の決定事実
・会社の合併、分割、解散などの決定事実
・災害などによる損害発生
・主要株主の異動(今回の村上ファンドはここに該当する疑惑)
・不渡りや破産
・業績予想の変動

など、上場会社の運営、業務上または財産に関する重要な事実で、投資家の投資判断に著しい影響を及ぼすものが「重要事実」の対象となります。

なお、その会社関係者でなくても、これらの重要事実を友人や家族から聞き、公表前に株式取引を行っても同様に罰せられます。

怖いのは、「この法律を知らなかった」ではすまされないこと。証券取引法を知らずに、また、ある事実について「重要事実」と思わずに、インサイダー取引を行う意思がもともとなく株式取引を行った場合でも、罰せられることです。「知らなかった」ではすまされません。

そうすると、自社株を買うのはダメなの?と思われがちですが、ご安心を。きちんとした手続きと規制を守れば大丈夫。詳しくは次のページで!