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TOBの影にちらつく、三角合併とは?

日本企業が外国企業に乗っ取られる?それを恐れての敵対的買収の例が北越製紙の争奪戦。その裏にあるのは2007年5月に解禁される三角合併。この三角合併とはいったい何なのでしょうか?

執筆者:石原 敬子

文章:石原 敬子(All About「よくわかる経済」旧ガイド)
三菱商事と王子製紙による北越製紙を巡っての争奪戦、これはなぜ起こったのでしょうか?その背景には2007年5月に解禁される、三角合併が絡んでいるようです。

<INDEX>
なぜ王子製紙は北越製紙を欲しかったのか(1P目)
三角合併、解禁されると外資に乗っ取られる?(1P目)
なぜ日本の会社はそんなにおびえるのか(2P目)

なぜ王子製紙は北越製紙を欲しかったのか

テーブル
話し合いで合併する時代はもはや過去のものに?
王子製紙といえば、製紙業界で最大手。既に製紙業界は、1996年に新王子製紙と本州製紙が合併して王子製紙に、2001年には日本製紙と大昭和製紙が経営統合をして日本製紙グループ本社になるなど、再編が進んでいる業界でもあります。

日本国内では業界最大手の王子製紙と22位の日本製紙グループが大王製紙以下を突き放して2強。売上規模ベースで僅差ではあるものの、王子製紙がトップを維持しています。

それなのに、なぜ今、さらなる買収計画が持ち上がったのでしょうか?僅差で国内シェアトップを争う企業がさらに規模を大きくし、収益力を高める狙いもありますが、どうやらそれだけではなさそうです。

2006年5月に施行された会社法。この新しい法律で、会社を設立する際の規制が緩くなったり、会社の合併に関する手続きが簡単になりました。会社法の施行で、会社に関係する法改正は一応整理されたことになっていますが、三角合併については、買収防衛策を張る余地としての猶予期間を与える形で、1年先遅りになりました。

三角合併とは、株式交換を使った会社の買収方法のひとつです。株式交換とは、他の会社を吸収合併する場合に、現金を渡して買収したい会社の株式を買うのではなく、親会社となる会社の株式を渡して買収したい会社の株式を受け取る、その名の通り、株式を交換することで他の会社を吸収合併する方法です。1999年の商法改正で、国内企業同士に限って可能になった、企業買収の方法です。

これにもう1社関与して3社が関係する方法が、三角合併。アメリカ型の企業買収(M&A)の手法です。では、三角合併とはどんな買収なのでしょうか?

三角合併、解禁されると外資に乗っ取られる?

では、外国企業による三角合併について、具体的に説明しましょう。

外国企業A社が、日本企業X社を買収したいとします。まず、外国企業A社は日本に100%子会社のB社を設立します。B社は、日本企業X社の株主から、株券を買い取ろうとします。その際X社の株主に渡すものは、現金でもなくB社の株式でもなく、親会社である外国企業A社の株式。このように3社が関与するので三角合併といいます。

このケースでは、B社は合併のための受け皿会社にしか過ぎないので、実質的には外国企業A社が日本企業X社を買収したのと同じになっています。なお、もともとX社の株主だった人たちは、これによりA社という外国企業の株主になるわけですが、この株式を売却しようとすると、A社の上場する外国市場に売り注文を出すことになります。

これはアメリカ的な手法といいましたが、では、アメリカの主流は、なぜ現金ではなく、株式交換による買収をするのでしょうか?

答えは簡単です。買収したい会社の規模が大きければ大きいほど、買収資金を巨額に必要とします。時価総額の大きい企業は、株券を交換することで買収ができれば、大型買収に伴う金銭的負担は小さくてすみます。資金繰りに無理なく買収ができるということです。

それでは、三角合併解禁を控えて、今の日本企業にはどんな影響があるのでしょうか?続きは次のページで!
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