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なぜ年金制度はややこしいのか(3ページ目)

未納議員たちは口々に言います。「今の制度はややこしい。」たしかにそうです。なぜそうなったのか、表の事情、裏の事情を交えて解説します。

執筆者:辻 雅之

1ページ目 【年金制度のややこしさ】
2ページ目 【年金を一つにすればすっきり】
3ページ目 【年金制度をすっきりできない裏の理由】

【年金制度をすっきりできない裏の理由】
巨額な年金利権にどっぷりつかる政・官・財


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十数兆円にものぼる年金、この巨額な資金を手放そうとしない勢力があるわけです。つまり厚生労働省の官僚たちです。彼らにとってこの年金という名の「年金利権」は、そうそう手放せるものではない。

2000年まで、年金は旧大蔵省の資金運用部と、旧厚生省管轄の特殊法人「年金福祉事業団」で運用されてきました。年金福祉事業団はもろ厚生官僚天下り先の法人で、年金を使ってむちゃな融資、豪華だが宿泊率の悪い宿泊所の建設などを行ってきました。官僚と財界(そしてその影には政治家たち)の癒着の構造によって、年金は食いつぶされてきたのです。

年金福祉事業団は2000年に「年金資金運用基金」という特殊法人に衣替えし、天下り度も若干影を潜めましたが、やはり厚生労働省のかかえる大きな利権の構造を支える組織であることはいうまでもありません。

年金が社会保険庁の官僚の宿舎に流用されたというニュースも流れましたね。社会保険庁は、「年金を人件費、福利厚生費などにあてることによって民間と同様なコスト意識をもつようになるのだ」と説明していますが、どうでしょう。横浜に年金を使って建てられた宿舎は3DKで家賃2万円ほど。周辺地域の相場では家賃12万というではないですか。

このように、官僚たち、そしてそれにむらがる建設・福祉などさまざまな業界が今の年金制度を利用して大きな利権を得ているわけです。そんな彼らが、年金を根本から見直して一元化する、など到底認めません。そんなことになれば、他の省庁(財務省)なんかが介入したり、第3者機関が入ったりして利権が薄くなってしまう。それは嫌だ。今のままの状態で、年金利権にすがっていきたいのが本音なのです。

そして、これまでも一元化の話が幾たびか出たにもかかわらず、それが政治の世界で遅々として進まないのは、この癒着構造に乗っかっている政治家たちがたくさんいる、ということでもあるのです。業界と癒着し、だれもこない田舎に年金で豪華施設を作らせている政治家たちがいるのです。

そういう意味で、年金改革法案の中に「一元化論」が盛り込まれたのは画期的かもしれません。この年金癒着構造に風穴をあける、機会がやってきたともいえます。

しかし、法案では将来の一元化論を約束したわけではもちろんありません。年金癒着を解体するための「一元化派」の戦いは、むしろこれからです。そんななか、年金未納問題でその一元化派の政治家たちまで足下をすくわれてしまっているのですから、年金官僚たちの高笑いが聞こえるようです。われわれはしっかり見ておかなくてはなりません、年金のほんとうの行方を。

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