上野動物園で1992年から飼われていたパンダ「リンリン」が、4月30日に22歳で死亡してしまいました。リンリンは途中で、メキシコのチャプルテペック動物園に住むメスパンダとの繁殖のため、3回ほど日本を離れています。結局その繁殖は成功しませんでしたが、16年間親しまれてきました。

上野動物園には、1972年に「ランラン」と「カンカン」が来てから、常にパンダが飼われていました。ところが今回のリンリンの死によって、パンダが1頭もいない状態になってしまったのです。

【CONTENTS】
中国のパンダ外交(1P目)
上野動物園へのパンダ貸与の裏事情(2P目)

中国のパンダ外交

中国の地図
パンダの生息地四川省では、5月12日に大きな地震が発生した。
パンダは中国・四川省だけに生息していると言われる珍獣なので、中国はパンダを政治的に利用する「パンダ外交」をこれまで展開してきました。パンダ外交とは、パンダを各国に贈呈することによって、他国との友好を深めようとする中国の外交手法のことです。

ところが、近年パンダが絶滅危惧種として認定されてから、話が変わってきました。絶滅の危機にある種は、ワシントン条約によって他国への無償提供ができなくなってしまったのです。

余談ではありますが、ワシントン条約の規定を利用して台湾を中国に併合させる第一歩としようとしたパンダ外交政策もありました。中国政府は2005年5月、台湾に対してパンダ2頭の無償贈呈を突然申し出ました。

この裏には、「台湾と中国は1つの国である」というアピールを国際社会にしようという狙いがあると見られています。つまり、台湾が主権を持った独立国で、中国と別の国なら、パンダの無償提供はワシントン条約に違反します。ところが台湾と中国が1つの国なら、他国への無償提供を禁止するワシントン条約違反にはなりません。

その意図を台湾政府は見抜き、それ以来2008年5月に至るまでパンダの受け入れを拒否しています。また贈呈される2頭のパンダは、それぞれ「団団(トゥアントゥアン)」と「円円(ユアンユアン)」という名前でした。この2つの漢字を合わせた団円という言葉は、「離れた家族が再開する」という意味を持ちます。この言葉、パンダの名前からも、台湾を再び中国に併合したいという政治的意図が隠されていました。

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