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1億円のレンタルパンダは必要か?(2ページ目)

上野動物園のパンダ「リンリン」が4月30日に死亡したため、中国から次のパンダ2頭の貸与申し出が出されています。しかしそのためには、年間1億円と言われるレンタル料がかかります。

執筆者:鳥羽 賢

上野動物園へのパンダ貸与の裏事情

写真集『パンダ育児日記』
中国パンダ保護研究センターが、飼育している子パンダの成長を記録した写真集『パンダ育児日記』
今回リンリンが死亡してから6日後の5月6日に、中国の胡錦濤(コ・キントウ)国家主席が福田総理との夕食会の場でパンダ2頭の貸与を表明しました。リンリンの死は当然ながらニュースとして胡錦濤国家主席の耳にも入っていたはずですが、それにしても異例の早さです。

ですが、パンダのレンタルには、年間約1億円と言われる高額のレンタル料を支払う必要が出てきます。現在日本でまだパンダが展示されているのは、神戸市の王子動物園の2頭と、和歌山県白浜町のアドベンチャーワールドの6頭です。この内、王子動物園の方は2頭で約1億円のレンタル料を支払っており、アドベンチャーワールドのレンタル料は公表されていません。

王子動物園は年間1億円を支払っていますが、パンダによる増収効果は1億円に満たないと言われています。また研究費としても、年間5000万円がかかっています。その意味では、パンダ借り入れは明らかに赤字なのです。

また、今回は日本国民からもかなり多くの反対意見が寄せられています。反対の主な理由としては、レンタル料が高すぎる、中国はチベット問題や食料品の安全問題など、他に解決するべき問題がある、などがあります。

中国はパンダを貸与する条件として、北京五輪へのボイコットをしないなどの約束を求めてくる可能性があります。今は中国が非常に難しい時期だけに、パンダがこれ以上政治に利用されるのは気になります。

参考サイト

朝鮮日報(2008/3/25)
産経新聞(2008/5/7)


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