先週の16日、煙害に苦しむタイ北部では、人工雨を降らせるために、当局が航空機を使って8種類の化学薬品を空から散布しました。この煙害というのは、タイで行われる野焼きやそれに伴う山火事によって大気中の煙が異常な濃度になる現象で、住民は目や喉を痛めてしまう人が続出しています。

【CONTENTS】
世界で広がる人工雨の実用化(1P目)
どうやって人工的に雨を降らせるの?(1P目)
日本における人工雨研究の今(2P目)
まだまだ限定されている効果範囲(2P目)

世界で広がる人工雨の実用化

タイ地図
チェンマイは観光地としても名高い都市だ
この方法で実際に雨が降ったかどうかは最後にお話するとして、人間が化学薬品を散布することによって、人工的に雨を降らせてしまう技術を持っているというのは、ある意味凄いことです。

今回タイ当局が動いた背景には、それだけ煙害の被害が深刻になっていることがありました。雨を降らせることによって、大気を洗浄してしまうことが目的でした。そしてタイだけではなく、他の国でも人工雨はすでに実用化しています。

特に中国は世界で最も人工雨や人工雪が多く、最近5年間で2100億立方メートル分の人工雨、人工雪があったと報告されています。中国の場合は、干ばつ対策などタイよりもさらに幅広い目的で人工雨が実行されています。

どうやって人工的に雨を降らせるの?

それでは、一体どうやって人工的に雨を降らせるのでしょうか?先ほどもお話したように、空から雲に向かってある種の化学物質を散布することで、雨を降らせることができるのです。

人工雨に使われる化学物質はいくつかありますが、よく使われているのがヨウ化銀(Agl)です。ヨウ化銀は黄色の粉末で、写真の感光剤にも使われている物質です。これを空中から雲にまくと、それを核にして氷の結晶が形成されます。それが雨となって落ちてくるというのが、人工雨の原理とされています。また二酸化炭素であるドライアイスも、ヨウ化銀と並んでよく使われる物質の1つです。これら以外にも、塩などで人工雨の研究が進められています。

ただしヨウ化銀には、弱いながらも毒性があることが指摘されています。現在のところ、ヨウ化銀を使った人工雨で住民に健康被害が出た例は報告されていません。しかし、人工雨にヨウ化銀を利用するにあたっては、その点に注意していく必要があるでしょう。

→では日本における人工雨の研究はどこまで進んでいるのでしょうか?