自分でやる覚悟が必要
――それでうまくいきましたか?溝口:
行きませんよ。 「紙で人が動くか!」と怒られて!(笑)
「人はどうのこうの、とは言うけど、自分はこうだ、とは言わない! まな板の鯉になってない! 鯉になれ!」と池田町の町長に怒られました(笑)
たしかに、出てきた企画書やアイデアにいろいろと批評家のように言うけれども、自分でやろうとしていない。自分でやる覚悟はないんです。これ誰やるの? って感じで。ああ、そんな風にやってきたんだと気づかされましたね。
――それで、まな板の鯉になったんですか?
溝口:
そうなんです。自分を出さずに、ただ言うだけでは人は動いてくれない、とわかりましたから。自分を出して言うのは、とても緊張しました。でも、人を動かすには、自分が動かなければ……。企画書も「自分でやるんだ!」と思って書いたものは、そうでないものとは全く違うものが出来るんですよ。「自分たちがやる覚悟」をしなければならないんです。
――自分たちがやる覚悟ですか~
溝口:
言うのは簡単ですが、なかなか大変ですよ(笑)
そんな時、町長から「田んぼの中で、足踏みしても沈むぞ! 前に進めば、足跡は見える!」と言われました。そして、「42度の熱理論」というのがあって「やるためには42度の熱が必要。39度では人にはうつらない。42度の熱があれば、人にうつっていく」というものです。そのくらいの熱い気持ちがあれば、人を動かす、というか人が一緒になって動いてもらうことが出来るんだと教えてもらいました。
――それが、池田町を変えていくことになったんですね
溝口:
まず一歩前に出ようと覚悟を決め、あとはやってみることで変化が生まれてきました。関わっている人が「楽しかった!」と、思えるようなことを続けていくと、必ず変わってきます。失敗してもいいんです。また、次はこうしようという気持ちさえあれば……。結果よりも、それまでの過程が大事かもしれないですね。
「あなたの住んでいるところは、いいところね」。そう言ってもらえることが、池田町に住む人たちにとって一番嬉しいことなんです。
なぜ農水省をおやめになったのか、とお聞きしたら……「国は大きな舵取りはできますが、身近なこと、足元が見えないんですね。僕は、そこから変えていくことにチャレンジしたかったんです」と答えてくださいました。
池田町へ来た理由を、「42度の熱がある人が、池田町に何人かいて、そこで風邪をうつされたんです(笑)」と語る笑顔は、とても温かかったです。
池田町、そして町の人を出会いで新しい人生の選択をされた溝口氏は、ほんとうに熱い方でした。彼の42度の熱さが伝わり、池田町を訪れたくなりました!
「いけだエコキャンドル」、毎年ほとんどの池田町の人たちを巻き込んでのイベントです。キャンドルを点火するだけでも、ひとつの行動になることを教えてくれます |
■関連記事
・ 部下に慕われる花見での会話術
・ 大人気ない言い過ぎや誤解を減らす方法