長嶋茂雄氏カムバック!
▲『監督・長嶋茂雄の闘い』佐藤安弘著 |
脳梗塞(こうそく)という病気は、前触れもなく発病して、重いまひなどを残す可能性もある恐ろしい病気です。人一倍健康に気をつかう元気な長嶋氏ですら、こうした病から逃れられなかったのです。
ビジネスパーソンを取り巻く環境も、避けようもないリスクに満ちています。倒産や経営破たんといった企業の“突然死”もあれば、左遷、降格、解雇といった“事故”も増えています。
むしろ、こうした事態に直面した後の行動が、ビジネスパーソンの成功・不成功を左右するのではないでしょうか。長嶋氏も発病当初は、右半身の一部にまひが残っていたそうですが、懸命なリハビリの結果、約5カ月後には文字を書けるまでにスピード回復しています。
危機から脱出するヒントを、危機に直面した経営者の復活劇から読み取ります。
step1:事実を冷静に受け止めろ
1000億円失った男 ツカサグループ 川又三智彦社長
▲『1000億円失って』川又三智彦著 |
ところが、バブル経済が崩壊すると経営が行き詰まり、川又社長は逆に1000億円の借金を抱え込んでしまうのです。ついには主力の「ウィークリーマンション」事業も外資系に売却して、資金を捻出せざるを得ない事態に追い込まれます。
当初は、バブル経済崩壊の一因とされる、政府による不動産事業への融資規制に対し、「不動産業界だけが狙い打ちされた!」と怒りを感じていた川又社長ですが、ある本で読んだ「世の中には客観的事実しか存在しない」という言葉が、川又社長を苦境から救うヒントになります。
感情に流されるな
その言葉の意味は、「感情に流されず、世の中の動きを冷静に捉えよ」という教訓でした。政府に怒りを覚えるあまり、冷静な判断力を失っていた川又氏は、客観的に世の中の動きを分析しはじめます。すると、新しいビジネスのヒントが見えてきました。「不動産価格の下落は確かに自分にとっても痛手だが、多くの不動産オーナーも同じように売るに売れない物件を抱え困っている。だったらそういう物件を活用する提案をすればよいのでは?」と気づいたのです。
ツカサは駅から遠いマンション物件などを、SOHO向けのオフィス物件に転換する事業を始めます。折からの起業ブームに乗って、現在順調にこの事業を伸ばし、復活の道筋をつけたのです。
事実を冷静に受け止めろ
人間、急なピンチに追い込まれると、冷静さを失ってしまいがちです。事実を客観的に捉えることによって、正しい復活の道筋が見えてくるのです。