◆柱や壁の制約が少ない家は可変性が高い◆
間取り変更は、大掛かりになればなるほど、建物の構造と密接に関連してきます。どんな工法で建てられているかということにもよりますが、建物には柱や壁などのうち、どうしても動かせないもの、取り外すことのできないものがあります。そして、こういった柱や壁に対する制約が少ない家ほど、可変性が高い家だといえます。
もう少し説明していきましょう。
・軸組工法の場合は
通し柱といって、1階と2階など階上と階下をつなぐ柱は動かせません。建物の四隅や、壁と壁が合わさるような場所には、ほとんどの場合、通し柱が必要になります。そのほかに、軸組工法でも筋交いの入っている耐力壁があり、この壁は位置を変えることはできません。
通し柱が必要な工法だと、1階の○と□のところに通し柱が必要です。しかし、通し柱が不要なら、1階と2階の間取りがそれぞれ自由に考えられるのです。
▼参考 「設計自由度の極めて高い構造か」(ロングライフ住宅基準より)
・2×4のような枠組壁工法の場合は
耐力壁と呼ばれる壁が建物を支え、地震など外からの力に対抗します。部屋と部屋などを仕切る間仕切り壁は取り外すことができますが、耐力壁を取り除くことはできないと考えてください。
・家の形から考えてみると
凹凸の多い家と、単純な長方形の家を比べてみると、凹凸の多いプランのほうが柱や壁の数が多くなります。ですから、どの工法でも原則として、複雑な形の家ほど、柱の数や壁の位置などに制約を受ける可能性が高くなります。
以上が可変性の高い家かどうかを判断するポイントです。ただ、同じ軸組でも木造軸組か鉄骨軸組かによっても柱の数や位置は違ってきますし、同じ工法を採用しても敷地条件などによって変わってきます。そのほか、住宅メーカーではオリジナルの部材を利用した独自の工法を用いているところもありますので、単純には比較できないこともあります。
◆可変性が高い家は資産価値の高い家◆
家族が増えたり、生活スタイルが変化したり、新築時には予想もしなかった変化によって、住まいが暮らしに合わなくなってしまうことがあります。それによって、二世帯住宅にしたり、賃貸住宅にしたり、売却して住み替えをしたり、ということがあるかもしれません。さまざまな状況をできるだけ予測することが大切なのですが、30年後、40年後のすべてを予測するのは難しいもの。ですから、可変性の高い家を選んでおくことが大切です。
そのうえで、水まわりの増設や増築の可能性があれば、あらかじめ、そのことを想定してプランに組み込んでおきましょう。将来の工事を最小限にすることができます。
具体的には、将来の給水・給湯の配管がしやすいようにヘッダーを用意しておいたり、排水口を想定して設置しておくこともできます。また、新築時は2階建てだった家をスムーズに3階建てに変更できるシステムを用意している会社もありますので、検討してみるとよいでしょう。
必要になったときの工事費用や
工事期間を最小限にできる可能性も
▼参考 「将来起こりうるさまざまな生活変化にも対応できるように、プランニングされているか」(ロングライフ住宅基準より)
もし、あなたが今家を建てようとしているなら、どの柱や壁が建物を支えているのか、図面を見ながら説明を受けるようにしましょう。当然のことですが、制約が少ない家のほうが、可変性は高くなります。
長く暮らしているうちに、リフォームをしたくなることがきっとあるはずです。そうなったときに、不便を感じながら我慢して暮らすのではなく、将来、プランを変更したいと思ったときにできるだけ希望通りになる家にしておくことが、本当の意味で快適な住まいにつながるのではないでしょうか。そして、可変性も含めて、選択肢が多い家こそ、資産価値の高い家だと思うのです。
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