◆築30~34年の旧宅を解体して新築◆
前ページで取り上げた「平成12年度 公庫融資利用者調査」から、建て替えをした人を調べてみると、解体した家の築年数は下のグラフのように、最も多いのが築30年~34年で、平均は32.2年です。
このように、家を建てる人の多くは長く暮らせる家(40年以上の耐久性)を望んでいるにもかかわらず、実際には期待しているより短いサイクル(平均32.2年)で家は建て替えられているというのが現状です。
31~35年のローンを選んだ人が多いことと合わせて考えると、やっとローンを返し終わったら、次のローンを借りることになるか、最悪の場合は、返し終わる前に建て替えをしなければならないわけですね。
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◆平均寿命より短い日本の家の耐久性◆
さて、ここで家を建てた人の年齢を調べてみましょう。「平成12年度 公庫融資利用者調査」によると、平均年齢は39.9歳。39.9歳で家を建てたとして、そのときの家の寿命がつきるのが32.2年後。その人は、72.1歳になっていることになります。
●建てた人の平均年齢39.9歳+家の平均寿命32.2年⇒72.1歳
●日本人の平均寿命 男性78.32歳 女性85.23歳
ところが、現在、日本の男性の平均寿命が78.32歳、女性が85.23歳(平成14年簡易生命表 厚生労働省大臣官房統計情報部)。ですから、39.9歳に家を建てても、晩年には暮らす家がなくなっているかもしれません。幸いにも、なんとか生活し続けることができたとしても、「あと何年もつかしら」とか、「大きな地震が発生したら大丈夫だろうか」などと不安を抱えながら、生活しなければならないことになります。
さらに、住宅は建てた後に、メンテナンスを必要とします。ローンを払いながら、メンテナンス費用を工面していかなければなりません。そして、ようやくローンを払い終わったら、家の寿命も終わってしまうことになるのです。
ローンを返済中に子供たちの教育費がかかるようになって出費が増えたり、高齢になって収入が大幅にダウンという状況になることもあります。特に、高齢になって収入が少なくなったときに、新たにローンを背負うのは負担が大きく、現実的には無理なケースのほうが多いでしょう。ローンを完済した後は、小額のメンテナンス費用だけで暮らしていくことができるのが将来設計としては、理想的ではないでしょうか。
かなり、残酷なことを書きましたが、調査の数字だけを見ていくと、このようになってしまいます。こうならないためには、ローンを完済してもなお、快適に安心して暮らすことができ、その後はメンテナンス費用だけで維持していくことができる丈夫で長持ちする家を建てなければならないのです。
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