東海地震の心配がささやかれる昨今ですが、ここ数年間に建てられた新しい住宅はともかく、築20年、30年と古い住宅の耐震性はどうなのでしょうか。
約8万棟の木造住宅の耐震診断の結果、耐震性に不安があるのは8割という数字が発表されています。この調査結果についてみていきましょう。
◆恐るべき実態、築24年以上の8割が不安
既存の木造住宅の耐震性について無料診断を行っている「日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)」(以下、木耐協という)に聞いてみました。
上のグラフを見てください。これまで木耐協が耐震診断を行ってきたのは約8万棟。その診断結果をグラフに示したものです。「倒壊または大破壊の危険がある→49.83%」「やや危険→24.32%」。このふたつを足すとこれまでに診断をしてきた約8万棟の住宅のうち、なんと、74%以上が倒壊または大破壊の危険がある家屋なのです。
これまで建築基準法は何回か改正されてきましたが、昭和56年(1981年)に建築基準法は大幅に改正され、いわゆる新耐震基準ができました。この法律改正の以前に建てられたか、後に建てられたかで、住宅の耐震性には大きな差が見られます。
データ出典::木耐協の調査結果より抜粋
2番目のグラフからわかるように、昭和56年(1981年)の建築基準法改正前に建てられた家に限ると、8割以上(62.00%+22.45%=84.45%)の家の耐震性に不安があります。もし、大きな地震が起きたら、1981年前に建築された家、つまり築24年以上の住宅の多くが倒壊してしまう可能性があるのです。
◆木耐協とはどんな団体?
ここで、木耐協とはどんな組織なのか、説明をしておきましょう。
民間の任意団体としての活動を経て、平成11年に設立された団体で、国土交通大臣認定法人です。正式名称は「日本木造住宅耐震補強事業者協同組合」で、略称「木耐協」。工務店やリフォーム会社、設計事務所などが会員となっている団体です。
木造軸組工法による2階建て以下の住宅の耐震診断を無料で行っています。この耐震診断は建設省(現在の国土交通省)が作成した木造住宅の耐震診断システムに基づいて実施されますが、木耐協に電話やホームページを通じて申し込みのあってはじめて行われるものです。木耐協からは訪問や電話などによる勧誘を行っていないとのこと。また、無料診断を受けたからといって、耐震工事を必ずしなければならないわけではないので、「とりあえず、わが家の状態を知りたい」という方でも診断を申し込むことができます。
日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)こちらから⇒
では、耐震診断を受けた人たちは耐震補強をどのようにしているのか次のページでみていきましょう。