免震装置ってどんなもの?

二つの耐震装置、免震と制震について学ぼう

二つの耐震装置、免震と制震について学ぼう

免震装置undefined通常の状態

免震装置のイメージ図。基礎と建物の間に取り付けられています

免震装置とは、地震のエネルギーを吸収し、揺れを建物に伝えないようにする装置のことです。

免震装置は、基礎と建物の間に取り付けられます。右上のイラスト図は、免震装置のイメージをあわらしたもので、これが通常の状態です。

製品によっていくつか種類がありますが主なところでは、金属の板とゴムを交互に重ねた積層ゴムを使ったタイプのほか、ボールをスライドさせるタイプ、ダンパーを利用するタイプがあり、住宅メーカーによって採用しているタイプは異なります。
 
免震装置undefined作動時

免震装置が作動したときのイメージ図。作動すると、建物が水平方向に動きます

装置によって、地震から伝わる地震の揺れを受け流し、建物の揺れを大幅に軽減することで、家具の転倒も防ぎます。敷地条件や装置の仕組みなどにもよりますが、地震のエネルギーを数分の1や数分の2ほどに、軽減するといわれています。つまり、震度6の地震が震度3や4になるわけです。

大きな地震が発生すると、右下のイラスト図のように免震装置が作動します。建物が水平に十数センチから数十センチほど動くので、免震装置を設置する場合は、建物の周囲に空間が必要になり、隣家までの距離もある程度確保しておくことが必要になります。また、外壁のすぐ近くにエアコンの室外機を置いたり、自転車を立て掛けたりすることは避けたほうがいいでしょう。
   

免震装置のメリットや特徴は?

地震の揺れが軽減されることで、建物や人命を守れるのが最大のメリットですが、実際の揺れより建物の揺れが小さくなれば、家具などの転倒を防ぐこともできます。これにより、地震後にすぐに普段の生活に戻ることができます。

この免震装置は、どちらかというと、これまでは高層ビルや美術館などをはじめとする公共施設など、大きな建物に設置されることの多い装置で、一戸建て住宅への設置はまだそれほど多くありません。

以前の記事、阪神・淡路大震災を乗り越えた!ーNさんの家編ーでも触れましたが、阪神・淡路大震災のときに、建物が倒壊しなくても、タンスや本棚が倒れてきて、ケガをしたり、亡くなった方がとても多かったという調査結果が発表されています。

ケガをして避難することができず、その後発生した火事によって、亡くなった方もかなりの数だったようです。また、ケガをしなくても、割れた食器やガラスが床に散乱して、後片づけがとても大変だっという話も聞きました。こういった被害を少なくしたいという考えから、免震装置は住宅にも取り付けられるように、いろいろと改良されたわけです。
 

制震装置とは、どんなもの?

制震装置は地震のエネルギーを吸収し、建物や人命の安全性を高めようとする装置のことです。
 
制振装置

これが制震装置の一例。各階の壁の中に設置されます 写真/旭化成ホームズ(ヘーベルハウス)

免震装置が基礎と建物の間に取り付けるのに対し、制震装置は壁の中に設置します。壁の表面は壁紙などによって仕上げられますから、家の完成後には見えなくなります。壁の中に隠れた制震装置が揺れを軽減し、建物の変形などをコントロールし、損傷を小さくしてくれるのです。

装置の仕組みや住宅の規模、プランにもよりますが、制震装置は1軒の住宅に、数カ所取り付けるものが多いようです。

制震装置についても、いろいろな製品が研究・開発されており、形状や素材にもいくつかの種類があります。例えば、主に特殊な鋼を使ったもの、高減衰ゴムを使ったもの、アクリル樹脂を主原料としたものなどがあります。
 

制振装置のメリットや特徴は?

揺れを軽減し、建物の損傷を少なくするという目的は免震装置と同様ですが、単に、地震の揺れを軽減させるという点では、免震装置のほうが優れています。ただ、免震装置に比べて小さな地震から大地震まで効果を期待でき、繰り返し発生する余震にも対応するのがメリットでしょう。

また、免震装置は、地下室のある住宅や、軟弱地盤や液状化しやすい地盤の土地には設置するのが難しいのに対し、制震装置は、取り付ける住宅のプランや地盤に対する制約が少ないのが特徴です。

制震装置と免震装置の違い

もう一度、免震と制震を整理してみることにします。

「免震」とは、ひとことでいえば、揺れを建物に伝えないということ。「制震」をひとことでいうと、揺れを軽減すること。そして、よく耳にする「耐震」とは、揺れに耐えるということになります。

「耐震住宅」というからには、建築基準法で定められた耐震性能をクリアしているべきだと思いますが、建築基準法の耐震性能はこれまで何度も改正されています。そのため、既存住宅のすべてが「耐震住宅」とはいえません。免震装置や制震装置がもっと普及してくれば、「耐震住宅」より耐震性の高い「免震付きの住宅」や「制震付きの住宅」が珍しくない時代がやってくるでしょう。

下に免震と制震のそれぞれの特徴と違いをまとめてみました。
 
項目  免震  制震 
ひとことでいうと  揺れを伝えない  揺れを軽減する 
建物の損傷  大幅に軽減  軽減 
家具などの転倒  大幅に軽減  軽減 
コストの目安  250万~400万円  50万~100万円 
地盤の制約  ある  ない 
 

ひとことで表現するなら「天才」と「秀才」

「免震は天才」、「制震は秀才」。

これは、ある住宅メーカーの方が免震と制震の違いについて、わかりやすく表現するならと、説明してくれたときの言葉です。
 
免震装置イメージと制震装置イメージ

両者の違いをわかりやすく表現すると、免震は天才、制震は秀才といえるでしょう

免震装置は、大地震が発生したときに、建物の損傷や家具の転倒を防ぐという点では、抜群の効果を発揮します。まさに、天才です。しかし、中小の地震では作動しない(震度4~5程度で作動)とか、価格が高いとか、液状化するような地盤には向かないなど、融通のきかない分野や設置の制約があります。

一方、秀才の制震装置は、一部にずば抜けて効果を発揮するのではなく、おしなべて全ての項目に優秀な成績をおさめるというわけです。建物の変形やねじれにも有効で、損傷や家具の転倒を軽減することはもちろん、免震に比べればはるかに低価格ですし、地盤やプランの制約も少ないからです。

いずれにしても、これだけ地震の日本では、「耐震住宅」であることは必須条件です。注文住宅では、制震装置を標準仕様やオプション仕様で用意している住宅メーカーが少なくありませんし、分譲住宅でも、制震装置を設置している例が目につくようになってきました。

採用している装置の詳細は住宅メーカーや物件によって異なり、地盤、プランや予算など、家を建てる側の条件もさまざまです。しかし、建築基準法で定める耐震性より上の性能を求める人が増えているのは事実であり、制震装置または免震装置を選択していく時代になりつつあると、言えるのではないでしょうか。

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