意外にも少ない耐震補強工事の実施
木耐協によれば、これまで耐震診断をしたのは約8万棟。これに対して、実際に耐震補強工事をした家は、24%の約1万8000棟。ほとんどの家が耐震性に不安を抱えながら、建て替えたわけでもなく、費用などの問題で補強工事を実施していないのが現状です。
では、耐震補強工事にはどのくらいの費用がかかるのでしょうか。
平均工事費用は113万9044円だそうです
データ出典:木耐協の調査結果より抜粋
ボード(構造用合板)を張って補強します
写真は、室内の壁のクロスをはがして金具を入れ、
ボードを張って補強工事をしているところ。写真/2点とも木耐協
できれば、リフォームなどと一緒に最低限の耐震工事を実施すると、費用の面でも、工期の面でも効率的に耐震性を高めることができると思うのですが、みなさんはどう考えますか。
悪質な業者にだまされるな!
ここまで読んできて、自分の家の耐震診断を試しに受けてみようという気持ちになりましたか? 耐震診断は、住宅を一度じっくり検査することなどで、現状把握の意味でもおすすめです。木耐協の場合も、以前地震に強い家にする!で紹介した日本耐震防災事業団(日耐防)の場合もそれぞれ独自の認定制度をもっており、その制度にのっとった有資格者が依頼を受けて耐震診断をします。診断には約2~3時間かかるそうです。
しかし、残念ながら、耐震診断や耐震補強をしている業者の中には、心ない業者がいることも事実です。悪質な業者にひっかからないためには、次のポイントをチェックのうえ、耐震診断や耐震工事を依頼する業者を選びましょう。
こんな業者はおすすめできない
●不安感を煽るようなことばかり言う
→「このままでは倒壊しますよ」などと、ろくに診断もしないうちから、危険な状態だということを強調する業者に耐震補強工事を頼んではダメです。 しっかり、診断してはじめてその家の状態はわかるはずですから、何も見ないうちに判断を下す業者はあやしいと思って。
●診断があまりに短時間、結果の表現があいまい→「この家は古いから弱い」などと、あいまいな表現に終始した診断結果しかだせないようでは、信頼できる耐震診断とはいえません。また、きちんとした診断にはある程度の時間がかかるのは一般的ですから、数分で診断結果を出す業者も×です。誠実な業者は、診断した結果(数値や目視の状況)を持ち帰って、計算などを加えて書類を作成。その書類をもとにしながら総合的な診断結果を後日、改めて報告に来ているようです。診断したその場ですぐに正確な診断結果はでないと思ってください。
●値引きやキャンペーンのことばかり話す→「今なら、○○万円値引きしますよ」とか「現在キャンペーン中なので○○万円でできます」などと、最初からお金の話ばかりする業者はおすすめできません。きっちりとした診断結果がなければ、どんな耐震工事をすべきかはわからないはずです。ですから、診断前に工事金額を提示する業者は、見積もりも信頼できない可能性大です。
あなたの家は、建築後、定期的に点検が行われていますか? 施工会社に点検の仕組みがある場合は、点検のときに耐震性について説明を受けてみましょう。もし、あなたの家がそういった定期的な点検が行われていない住宅だったり、築年数が20年以上であれば、信頼のおける業者を選び、一度、自分の家をじっくり見てもらうとよいでしょう。長く暮らすためには、耐震性も含め、確かな性能は必要な条件なのですから。 ▼関連記事 耐震性の高い家を考える(1) 地震に強い家にする!▼関連記事 耐震性の高い家を考える(2) 8割の家が地震で倒壊の危険?!
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