都市部の住宅過密エリアではどうする?
ある程度の高気密・高断熱であることは、省エネルギーの観点からも、現代の住宅にとって、必須条件だと思います。しかし、窓を開けて風や光を取り入れることのできる季節や時間帯には、できる限り、自然の恵みを感じて生活できれば、とても快適で、豊かに暮らすことができるのではないかとも、思うのです。
では、窓をたくさん設けたり、大きくしたりすればいいのかというと、これは、ちょっと違うと思います。先にも述べたように、現代の住宅を取り巻く条件は、過酷です。南側だからといって、大きな開口部を設けても窓から見えるのは隣家の北側だったり、視線が気になって窓を開けられずカーテンを締めたままにしているようでは、開口部を設けた意味がありません。
「どこに開口部を設けたら風や光がふんだんに取りこめるのかをプランニングの段階で検討する」。これが、現代の住宅の設計の仕方ではないでしょうか。当然のことのようですが、経験やカンだけに頼ることなく検討するというのがポイントです。正確なデータをもとにシミュレーションをして、その結果としての通風・採光プランを実際の間取りに反映できれば確実性が高まることでしょう。実際、住宅メーカーでは、このような通風・採光シュミレーションのシステムを活用しているところがあるようです。プランニングの検討の際には、近隣の家の建て替えなどの環境の変化を加味することも忘れずに。
都市部でも、風や自然を感じながら過ごす
家の中心に中庭を設ければ、住宅密集地でも、開放的な気分を味わうことができます |
これまで、述べてきたのは、エアコンを使わない家のほうがいいとか、断熱性や気密性は重要視しないということではありません。現代人である私たちが、冷暖房に頼るのは当然ですし、真夏には冷房がなければ、快適に過ごすことはとてもできないでしょう。断熱性・気密性についても、現在、当たり前となっている程度の性能は必要だと思います。しかし、今以上にもっともっと高気密・高断熱をおしすすめていったり、24時間365日冷暖房に頼る生活を目指すことが、快適な暮らしにつながらない気がするのです。
夏の暑いある日に、中庭に面して大きな開口部のある住宅を訪問しました。その家は、都市部にあり、隣家はすぐ近くまで迫っていましたが、隣家のある面にはほとんど窓を設けず、中庭によって通風と採光を確保していましました。2階にあるリビングに通されると、明るく開放感があり、窓を開け放しても、見えるのはその家の外壁ばかりで、隣家の視線は気になりませんでした。窓から流れていく雲を眺めながら、そよそよと入ってくる風がとても心地よかったのを覚えています。1年のうち、窓を全開にできる季節はそれほど長くないのかもしれませんが、風や光など自然を感じながら暮らすことができたら、それが一番豊かな暮らしなのではないでしょうか。
要は、基本性能をもった家で、エアコンなどを上手に使い、賢く自然を取り入れて生活できる家こそが、現代のよい住まいなのではないかと思うのです。エアコンのスイッチを切ることができれば、大きな省エネになることは、言うまでもありません。