築20年、30年の古い家をリフォームで、長く暮らせる家にすることができるか? 答えは、イエス! ただ、費用も工事期間も新築と同様か、それ以上にかかるかもしれませんし、何より、細部にわたって注意が必要です。
では、どんなリフォームをしたらいいのか、今回はこの点について、考えていきましょう。
長く暮らせる家に必要なリフォームのポイントは3つ
築年数が古い家のリフォームを考えるとき、次の3つのポイントを抑え、リフォームをすべきだと思います。
●見た目・使い勝手をアップさせるリフォーム
●断熱・気密性能をアップさせるリフォーム
●耐震・耐久性能をアップさせるリフォーム
では、それぞれがどんな内容なのか、もう少し詳しく説明していきましょう。
見た目・使い勝手をアップさせるリフォーム
ひとつめの「見た目・使い勝手をアップさせるリフォーム」は、恐らく、多くの人がリフォームと聞いて真っ先に思い浮かぶ内容のリフォームです。古く汚くなった壁紙を新しいものに張り替えて室内を美しくするとか、システムキッチンを最新の機器に交換して、使いやすさを向上させるといった具合です。
現代の家は壁の中に断熱材が入っています。断熱材には、繊維系断熱材のほか、写真のような発泡プラスチック系のものがあります |
断熱・気密性能をアップさせるリフォーム
ふたつめの「断熱・気密性能をアップさせるリフォーム」は、床や壁、天井(屋根)などに断熱材を入れたり、開口部の断熱をするというもの。昔は断熱についての基準がなかったので、古い家の多くは断熱化されていません。住宅金融公庫が融資条件のひとつに断熱化を義務づけたのが1988年ごろですから、それ以前に建てられた家で断熱材が入っている家は少ないはずです。逆に、20年以上前に建築された家で、断熱化された住宅は、先進的な考え方を取り入れた、かなり高水準の住宅だといえるでしょう。
断熱材は壁の中、床下、天井裏に入れますから、原則として、内装材をはがさないと入れられません。ただ、最上階の天井裏や床の場合は、天井裏や床下に潜り込むことができれば、仕上げ材(クロスやフローリングなど)をはがさなくても、断熱材を入れることができます。しかし、壁の場合はまず、無理ですから、壁紙を張り替えるときなどに一緒に断熱化の工事を行うのが理想的でしょう。
また、リフォームで窓の断熱性を高めるには、
・サッシごと替えて複層ガラスにする
・サッシはそのままにして特殊なガラスに交換する
上記のどちらかが考えられます。ただ、サッシごとの交換となると、外壁から取り外すなど、外まわりに影響を及ぼすので、かなりの大規模な工事になります。その分、既存のサッシをいかす工法は、2枚のガラスの間に真空層を設けたガラスや、専用のアタッチメントが付いた複層ガラスなどを利用しますので、住みながらの工事にも対応できます。
玄関ドアや勝手口なども、最近のものは断熱材が組み込まれ、ガラス部分が複層ガラスになったものが一般的になっています。ドア枠を解体せずにドアだけ交換することができるリフォーム専用の商品もでていますので、窓に比べると、比較的簡単に取り入れることができるでしょう。
開口部の断熱性を高めるため、新築住宅では複層ガラスを採用している住宅が非常に多くなってきました |
窓など、開口部の断熱がこれだけ重視されるようになったのは、比較的最近のことです。新築の場合は、複合サッシ(例えば、室内側が樹脂で、室外側がアルミなど異素材を組み合わせたサッシ)に複層ガラスを用いた窓にするのが一般的になってきましたが、築年数の古い住宅の場合は、アルミサッシに1枚ガラスというケースが多いと思われます。
では、次のページで、耐震・耐久性能をアップさせるリフォームについて説明していきましょう。