世界の寒冷地帯と遜色なく進化した日本の住宅断熱性ですが、そのほとんどは内断熱。なぜ欧米では主流になっている外断熱が根付かなかったのか。内断熱と外断熱の違いは? 長期優良住宅法の施行を前に、差別化のポイントとして外断熱を訴求する企業も出てきています。

日本で外断熱が普及しなかった理由

断面図
外断熱マンションの断面(左)をみると、オレンジの断熱材がコンクリートをすっぽり保護しているが、一般的なマンションの内断熱断面(右)は断熱材がコンクリートの内側にあり、コンクリートは雨風の影響を受けやすい(以下いずれも写真協力:明豊エンタープライズ)
外断熱工法は文字通り、住宅の構造躯体を厚みのある断熱材でスッポリくるむ工法のこと。欧米では一般的に普及している工法ですが、残念ながら日本ではほとんど供給されていません。なぜかというと、歴史をさかのぼりますが、外断熱工法はコストも工事期間もかかるため、戦後の住宅不足や高度成長期に効率重視でコストも工事期間もかかる外断熱は敬遠されてしまったため。その流れが今も続いているため、日本ではマンションも一戸建もほとんど内断熱が主流になっています。

日本に短命住宅が多いのは、こうした外断熱の普及度合いが低いことも要因の一つと言われています。日興リサーチセンターのデータによると、住宅の代替わり周期年数(建てられてから壊されるまでの年数)は、イギリス140年、フランス・ドイツが80年であるのに対し、日本はたった20数年。日本でも築100年を超えるような古民家が一部残っていることも考えると、この20数年という数字は、そのほかのほとんどの家が十年足らずで建て壊されていることを物語っています。
外断熱しくみ
コンクリート躯体の外側に黄色の断熱材があり、その外側に通気層を設けたうえで外装材を重ねた外断熱マンションの仕組み図

「欧米の住宅が100年~200年もつのは石造りの文化だからでしょ?」と反問されそうですが、実は石もコンクリートも酸性雨や湿気による劣化はあります。では、なぜ長くもっているのかというと、この外断熱による影響も無視できません。日本の住宅は内断熱に多いとされる躯体内結露の水分によって、比較的早く基礎や構造材が劣化してしまい、構造的に部分リフォームではもたない、むしろ建て替えた方が早くて安い……といったことから20数年で全部壊されてしまう。でも今のエコの時代、もはやこういうのは許されません。

ガイドも外断熱マンションを体感見学

宿泊モデルルーム
長時間滞在することにより外断熱を実感できるよう宿泊モデルルームも用意。ホテルに泊まりにいく贅沢な感覚で実感できる
さて、このほど、外断熱マンションを手掛ける住宅ディベロッパー「明豊エンタープライズ」の体感パビリオンを見学する機会がありました。訪れたのは、東京でも朝方はマイナスまで冷え込んだ1月のある日。パビリオン施設そのものが外断熱で作られているのですが、暖房の機械的な温かさではない、まさに空気が暖かくソフトに保たれているという感じ。これが朝少し床暖房をつけただけだと聞いて驚きました。かくいうガイドも外断熱を頭では理解していたものの、この体験で身を持って理解することができました。百聞は一見に如かずとはこのことです。

パビリオン内には、外断熱を断面図や構造、結露の出具合、将来のリフォーム・修繕のしやすさまで、様々な面から説明する展示がありました。特に外断熱は断面図で理解するのが一番分かりやすいですね。このページの一番上の写真の、向かって右が、黄色の断熱材がコンクリートの内側にある一般的な内断熱構造。これではコンクリート躯体は外の雨風の影響をもろに受けてしまいます。そして向かって左が外断熱マンション。オレンジの部分の断熱材がコンクリート躯体を包んで保護していることが分かります。

パビリオン展示
宿泊パビリオン内には外断熱をはじめ各種構造や性能を説明する展示もある
ただし、外断熱はこうした基本構造の部分ですから、建てた後からリフォームなどでビルトインできません。だから最初に選ぶ際の目が肝心。前述のように、欧米並みの本格的な外断熱工法はコストや技術などを要するため、日本でも導入しているのは1~2社しかありません。明豊エンタープライズの「シェルゼシリーズ」は、数少ない外断熱マンションを一貫して手掛けている企業の一つであり、その取り組みは平成20年度「超長期住宅先導的モデル事業」の第二回にも採択されています。

さてマンションでなく、一戸建てでも外断熱にチャレンジする事例といえば……?