今回お話を伺ったのは、ミサワインターナショナル常務取締役の石川新治氏。同社は、ミサワホーム創業者である三澤千代治氏が「伝統的木造工法を現代の技術で継承させたい」との考えのもと、2004年に設立。30年前から国内や海外の築100年を超える古民家を調査し、その古人の知恵から学んだ家づくりは現在、「HABITA」というブランド名で地域工務店と提携しながら展開しています。

200年住宅の「200年」の裏付けとは?

森林イメージ
エコの原点は「地球上の木材が枯渇しないこと」
さて、最初に石川氏が問いかけてきた質問は、「そもそも200年住宅が、なぜ200年なのか裏付けが分かりますか?」。地球環境にやさしい家とか、エコな家というのは、そもそもは地球上の木材が枯渇しないようにということから叫ばれ始めたのであり、『資源同調』という考え方から来ていると言います。

現在、住宅用資材として流通している木材は「40年材から」が多い。40年かけて育てられた木材は少なくとも40年かけて使わなければいけない。しかし、現実には日本の家は20~30年で建て壊されている。40年サイクルのところを半分のサイクルで木材や資源を使い捨てしていることになる。

山林イメージ
樹木のうち建築用木材は40%弱しか使われず、残りは燃料として燃やされてしまう?
しかも樹木は全部使われているわけではなく、建築用木材となるのは40%弱。残り60%は短命な端材や乾燥のための燃料として燃やされているものも多く、その残り60%を住宅年数0年として、樹木全体を40年で使うためには、40年=「(60%×0年)+(40%×100年)」÷40年材」となり、少なくとも100年は使わないと資源同調しない。しかも戦後に植林された日本の樹木は60年材のため、「40年:100年=60年:150年」となり、150年使わなければ資源同調しない。

200年後は技術や性能の進化が想像を超える?

しかし、実際はすべての家が100~150年壊されずにすむわけにはいかないので、「意識的に長持ちさせようとする住宅」は200年もたなければいけない。「……というのが、学識者などで最初に唱え始められた『200年』のゆえんです。例えば紙に使われる木材資源なども細かく計算に入れても、150年ほどの結論に至ります。これは、木を使う住宅企業だけでなく、住まい手も含めた全員に課せられた課題として受け止めなければいけないと思います」と石川氏。

町屋イメージ
今から200年前といえば江戸時代の家。今から200年後の家はどうなってる?(写真はイメージ。鳥取県の町屋)
さて次に石川氏が問いかけてきたのは、「200年住宅というのは、どういう住宅だと思いますか?」という質問。「200年という時のスパンがイメージできますか? 今から200年前は江戸時代、着物を着て紙と木で家ができていた時代ですよ。200年というスパンはそれくらい想像を絶するほど長いのです。だから今から200年後の住まいを考える時、人々のライフスタイルも、住宅の技術や性能も想像がつかないほど様変わりしていることを想定しなければいけません」

1981年(昭和56年)につくられた新耐震基準にしても、まだ18年。1992年(平成4年)の新省エネ基準、1999年(平成11年)の次世代省エネ基準も10年。「だから、刻々と移り変わっていく時代や技術や性能の変化に耐えられる住宅が、本当の意味での200年住宅であり、それを私どもは築100~200年の古民家にヒントを得たのです」(同)。能楽や茶の湯の極意として尊ばれてきた温故知新を、日本の家づくりでも実践できないものか。世界中には100~200年経っても変化しない古民家があり、その答えとして導き出したのが、『習いは古きに、創意は新しきを』というテーマでした。

30年前、ミサワホーム創業者として事業に携わっていた三澤氏はアメリカ建国200年の際に、「世界の200年住宅リスト」を入手し、世界500の街に残るこれらの古民家を訪ねたと言います。それらの世紀を超えた古民家の共通点として行き着いた5つの答えとは?