子育てに不安なママを支えるホームビジター

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先輩ママあるいは友だちの立場で訪問するホームビジター。同じまちで子育てをしてきた経験者だからこそのアドバイスが、利用者の心に響きます

子育て中の家庭を支援するホームビジターという存在をご存じですか。

6歳以下の子どもがいる家庭に、専門の講習を受けたホームビジターが気軽に訪問し、子育て相談にのる活動です。そのホームビジターの派遣に取り組むのが、今回ご紹介する“NPO法人子育てネット・ワークピッコロ”です。

我が子は可愛く、愛おしい存在です。でも、まだ言葉も出ない赤ちゃんにいったいどう対処したらいいのか戸惑う場面も少なくありませんよね。その理由の1つには、多くの女性が出産まで赤ちゃんとの接点がほとんどないまま、母親になっていくため、接し方がわからないことがあげられるでしょう。

親族が身近にいれば、相談に乗ってもらったり、子育てのノウハウを教えてもらったりもできますが、核家族が多い現代ではそういう家庭ばかりではないですよね。近くに知り合いもいないまま、昼間は赤ちゃんと2人きりという状態で子育てをしている家庭は決して少なくありません。

そういった周囲に頼る人もいないまま子育てに戸惑っている家庭に、先輩ママの立場で訪問するのがホームビジターです。子どもと一緒に遊んだり、ママ同士でおしゃべりしながら、赤ちゃんとの接し方や、離乳食の作り方、さらには地域の子育てサービスの情報などを伝えることで、子育てをサポートしていきます。
 

子育て支援の先駆者

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ピッコロ代表理事の小俣みどりさん。元々は保育士さんだったそう

ピッコロは、1997年に清瀬市で行われた「保育サービス講習会」を修了した16名の女性たちで結成された会です。まだ、“子育て支援”という言葉すら一般的とはいえなかった頃に、「子どもを預けたい」という家庭のお子さんを預かる活動を始めました。

「私たちも子育てをしながら、困ったときに助けてくれる『手』がほしいと感じていました。当時、行政の一時預かり制度はありましたが、手続きが煩雑で『今すぐ助けて』という声には対応できていませんでした。また、預ける理由にも決まりもありました。だから、理由は問わずいつでも預かる体制を作り、緊急対応24時間の訪問保育サービスを立ちあげました。事務所もなく、携帯電話1本からのスタートでした」

ピッコロ、代表理事の小俣みどりさんはそう振り返ります。

今でこそ、各地にファミリー・サポート事業が広がり、ピッコロも現在は清瀬市から委託を受けた“ファミリー・サポートきよせ”も同時に行っていますが、まだようやく一部の自治体で始まったという時期。その頃から、預ける理由は問わない、24時間対応、病児病後児対応など、先駆的な活動を行ってきました。

子育て支援にも“予防”の視点を!

その活動で見えてきた課題が「問題が起きる前の家庭を支援すること」でした。一時預かりを通して、様々な家庭と関わることで虐待につながり兼ねない強い育児不安や、子どもにどう接していいかわからず愛着がもてないなどの問題を持つ家庭が少なからずあることが、透けて見えてきたといいます。

そこでたどり着いたのが、不安を抱える家庭にこちらから出向くホームビジターという仕組みだったのです。

「ホームビジターは予防の支援です。子育て支援にも予防が大切だと思います。家庭の子育て力の低下が指摘され、虐待などの問題も深刻化していますが、問題が起きて複雑になると、解決するためには長い時間と多くの人の手を要します。不幸な結果を招くことだってあるでしょう。問題が起きる前の、子育てに不安な家庭をもっと支えてあげたら状況は改善されますし、他人が入っていくことで、家庭が開かれていきます」(小俣さん)