将来的に有効なメリット

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上がり框のないフラットな玄関。三和土と廊下の区別は素材の違いのみ。この玄関の場合は、見切りさえありません

段差のないフラットな玄関は、とあるマンションのモデルルームで出会いました。玄関のドアを開けると、そこから室内空間全てにいたるまで、ずっとフラットです。いわゆる靴を脱ぐ三和土と室内空間を隔てるものは、床の素材の違いのみ。上がり框が全くなく、段差といえるものは、床の異素材のつなぎ目をおさえている見切り(幅は2cm程度で高さも2~3mm程度の金属の板)くらいでしょう。

初めて見たときは、何か奇妙な感じがしました。なぜなら、どこで靴を脱いでよいかがわからないからです。床の素材が違うのだから、素材違いの境までのスペースに靴を脱げばよいと頭では判断できるのですが、上がり框のあるこれまでの玄関の感覚が身にしみていて、タイミングを逸するという感覚でしょうか。

玄関に段差がないことに対する感覚的な違和感は、やはり段差のないバスルームを見学したときに感じた違和感と似ていますね。何となく足を踏み入れてから、「アレ? 何か忘れた?」というような感覚。段差がないのに、習慣で、何となく足を持ち上げてしまうような・・。

もちろん床面が全てフラットですから、目的はバリアフリーだと一目で了解できます。足腰が弱った高齢者の方や車椅子を使用している人にとって、床に段差がないことは有意義でしょう。 それに、現在はそれほど必要に思えなくても、10年後、20年後にこのフラットな玄関がとてもありがたく思えるようになるでしょう。

また、高齢者でなくても、幼児や、重い荷物を持っているときなどにも有効かもしれません。突然のケガや病気で車椅子が必要になることもありますし、自分は必要なくても、両親などが介護が必要になったときなど、さまざまなシーンでのメリットが思い浮かびます。

デメリットは少ない!?

この玄関の場合は、廊下を経ず、三和土に面して居室があります。境界線はフラットな床面に走る金属の見切りを隔てた素材の違いのみです
上の写真の見切り部分を拡大したもの。玄関側の素材は大理石で、居室側はカーペットです

ただ、感覚的な違和感だけでなく、ちょっとした問題点も感じました。例えば、エントランスもフラットにしないと意味がないこと。マンションならば、エントランスから住戸まで、段差をスロープにするなど、全てフラットにすることが比較的簡単です。費用は全戸で頭割りすればいいですし、一戸建住宅と比較すれば、スロープをつくるなどのスペースの余裕もあるからです。現在の新築マンションでは、道路面と段差の少ないバリアフリーのエントランスが増えているとは思います。

それ対して一戸建ての住宅の場合、土地いっぱいに建物を建てるため、玄関のアプローチにスロープをつくるスペースを確保するのは難しい場合があるでしょう。また、スロープをつくる分、余計に費用がかかります。

また、私のような無精者は、玄関に靴を脱ぎっぱなしにしていることも多々あります。その場合、フラットな玄関は、脱いだ靴の存在がとても目立ちます。家が片づけられていない雑然とした感じが倍増してしまいます。上がり框がある玄関は、段差のところに靴が並べらるため、それほど気になりません。まぁ、これはまめに片づければすむ問題なのですが…。

そのほかにも、雨の日に靴や傘に付いた水滴が、段差がないため、室内エリアの床に進入してこないかなども気になります。もちろん、そんな水滴の量は、たかが知れているので、そんな心配は無用なのでしょうが、上がり框があれば、その点での安心感は格段に違います。

聞くところによるとこのフラットな玄関は、マンションでは採用するところが、少しずつではありますが、増えているようです。私はまったく違う会社のふたつのモデルルームで出会いました。さて、バリアフリーに徹したこの玄関は、時を経て、これからの主流になっていくのでしょうか?

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