屋根伏図でわかる屋根のこと
屋根については、屋根伏図という図面に書かれているので、面倒がらずにしっかり確認しましょう。屋根伏図でわかるのは、主に下記の情報です。・屋根のかかり方(屋根の谷と山)
・屋根のデザイン(切り妻や寄棟など)
・屋根勾配(4寸勾配や5寸勾配といった勾配)
・屋根材
単純な屋根形状のほうが雨漏りの危険も低い
では、どんな屋根だったら、雨漏りの危険が小さく、住宅の寿命を長くすることができるのでしょうか。答えをひとことでいうなら単純な屋根です。単純な形状の屋根なら、雨水が屋根の一部分にたまってしまうことなく、スムーズに雨樋に流れていきます。施工に問題がなく、屋根材の破損がなければ、雨漏りの危険はまず、ないといえるでしょう。
屋根材の種類によっても適切な屋根勾配は違ってきます。萱葺きの屋根は、現代の家に比べて急勾配のものも |
一方、複数の屋根を組み合わせると、山や谷がいくつもできます。谷に雨水がたまることは建物にとってよくないことなので、危険個所がないか、チェックが必要です。複雑な屋根形状にすると雨漏りするということではありませんが、複雑な形状の屋根は施工が難しく、新築時だけでなくメンテナンスの場合も念入りなチェックが必要になります。その点、単純な屋根はメンテナンスもしやすく、費用も安くなるので、よりよいといえるのです。
屋根の雨水が滞ることなく流れる勾配に
屋根勾配も雨漏りと関係があります。あまり緩やかな勾配だと、雨水が速やかに流れないので危険度が高まります。一般的な屋根勾配は、3~6寸くらいが多いようですが、屋根材の種類や屋根の面積、積雪地帯では積雪量などによっても、適切な勾配は違ってきます。また、片流れのような形状の屋根は、かなり緩やかな勾配にすることもあります。急勾配の屋根は小屋裏が大きくとれるなどのメリットがあり、デザイン的には洋風で目を引きますが、あまり勾配がきつくなると屋根専用の足場が必要になり、工事費用がアップします。そして、将来のメンテナンスのときにも多額の費用がかかることになります。
軒は深めにとって外壁を守る
日本のように雨の多い地域では、軒はあったほうが無難です。前述のように軒が深いと、外壁に雨水がかかりにくいため、藻の発生も抑制できます。結果的に、汚れにくく、傷みにくくなります。また、雨樋についても、デザインを重視するばかりに必要な本数を設置しなかったり、適切な場所に設置しないケースがあるようですが、スムーズに雨水が流れることを考えて設計しましょう。
このように、外観デザインばかりを優先するのではなく、雨漏りの原因となるような谷をつくらない屋根形状を考え、屋根材や雨樋、軒の出など、総合的に外まわりのプランニングをしてください。